商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2020/02/21 |
JAN | 9784492371244 |
- 書籍
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岩井克人「欲望の貨幣論」を語る
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岩井克人「欲望の貨幣論」を語る
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商品レビュー
4.2
19件のお客様レビュー
分かりやすく、貨幣の価値の循環論法について書かれていた 個人的に2章以降の内容があんまりためになら無かった
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『貨幣論』、『二十一世紀の資本主義論』と続けて読んで、今回、著者の最新の本書を読んだ。上記2冊はいずれも今から30年近く前に刊行されたが、これらで展開された「貨幣」の本質は、たとえその姿形を変えたとしても、その実態は変わらないとわかる。その一方で、これらの本には存在しなかったビ...
『貨幣論』、『二十一世紀の資本主義論』と続けて読んで、今回、著者の最新の本書を読んだ。上記2冊はいずれも今から30年近く前に刊行されたが、これらで展開された「貨幣」の本質は、たとえその姿形を変えたとしても、その実態は変わらないとわかる。その一方で、これらの本には存在しなかったビットコイン等の仮想通貨や昨今話題であるMMT(現代貨幣理論)に対する見解を述べており、これまでの著書ではカバーされていなかった部分を本書で補足されている。 本書全体を読んで、アリストテレスとカントの2人の哲学者の偉大さがよくわかる。著者曰く、アリストテレスは資本主義以前の世界で、貨幣の本質を見抜いたり、共同体のあり方の鋭い見方をしてるという。一方、カントは近年台頭したグローバル経済を克服するための対抗策として、その思想は今でも有効だと見なす。 グローバル化によって、アダム・スミスを祖とする新古典派の影響力が強まったが、これらの学派は非効率、不合理な要素を排除し、効率性、合理性を徹底的に追求する。その結果、市場が不安定化する状態となり、資本主義社会がますます不安定となる。今後、資本主義社会がそう簡単に終わる気配がしないが、その中でも、人間が人間として生きていくには、他者のために生きていかなければならない、と著者は2人の哲学者の思想からそのように結論付ける。
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岩井氏の本は毎回感銘を受けているので本書も早速手に取りました。岩井氏と言えば、貨幣論、資本主義論を、アリストテレスやゲーテ、シェークスピア、カントなど、古今東西とは言わないまでも(西&古に偏っていますが)、経済学以外の巨人の視点を通じて分析するというのがユニークな特徴だと思ってい...
岩井氏の本は毎回感銘を受けているので本書も早速手に取りました。岩井氏と言えば、貨幣論、資本主義論を、アリストテレスやゲーテ、シェークスピア、カントなど、古今東西とは言わないまでも(西&古に偏っていますが)、経済学以外の巨人の視点を通じて分析するというのがユニークな特徴だと思っています。つまり経済学という領域にこだわらないところに面白さがあるわけです。 本書では、どちらかといえば貨幣論を中心に同様のアプローチがとられていました。その意味では、岩井氏の本をこれまで何冊も読んだ人からすると、そこまで新しいことは書かれていないものの、とにかく主張がわかりやすく解説されているというのが本書の価値でしょう。前著(貨幣論、ヴェニスの商人の資本論、経済学の宇宙、など)を読まれた人にとっては復習に、はじめて触れる人は著者の主張が明瞭に伝わってくる本だと思います。 私が今回改めて納得した主張は、資本主義における効率性と安定性の二律背反の話です。「経済学の宇宙」にもその主張は記述されていましたが、本書を読んで理解が深まりましたし、深まったと同時に、実は極めて挑発的な主張でもあるということに気づきました。効率性と安定性の二律背反とは、言い換えるならば自由放任主義(効率追求)が経済の不安定化や行き詰まりを生み出すということなのですが、ふとミヒャエル・エンデの「自由の牢獄」という物語を思い出しました。ネタバレになるのでストーリーは述べませんが、「制約条件のない自由は不自由である(身動きが取れなくなる)」というような話です。またミクロ経済学でも、何かしらの制約条件(例:予算制約)のもとで、ある経済変数(例:効用)を最大化する、という問題については最適解が計算できるわけですが、制約条件がなければ問題は解けません。大澤真幸も、ある本でエンデの同物語に触れ、自由には制約条件がつくべきであると主張し、たしか「将来世代に対する義務」を制約条件として現世代は自由を謳歌すべし、というようなことを提唱していたかと思います。本書改めていろいろと深く考えさせてもらえる本でした。
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