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建国神話の社会史 史実と虚偽の境界 中公選書
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建国神話の社会史 史実と虚偽の境界 中公選書

古川隆久(著者)

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建国神話の社会史 史実と虚偽の境界 中公選書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2020/01/20
JAN 9784121101020

建国神話の社会史

¥1,540

商品レビュー

3.7

9件のお客様レビュー

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2025/02/03

これまた。たまたま図書館で目にしたので借りてきた本。 なかなか読みやすくて,内容もおもしろかった。 どう考えても科学的に無理のある日本の「建国神話」が,どのように人々の間に広まっていったのか,あるいは広まっていかなかったのか,について,明治以降(特に大正・昭和期)の一般社会,学校...

これまた。たまたま図書館で目にしたので借りてきた本。 なかなか読みやすくて,内容もおもしろかった。 どう考えても科学的に無理のある日本の「建国神話」が,どのように人々の間に広まっていったのか,あるいは広まっていかなかったのか,について,明治以降(特に大正・昭和期)の一般社会,学校教育現場についてまとめられている。 あたった文献が大変多くて,さすが研究者だと思わせてくれた。 本書を書いた目的・意図を著者の古川氏は「プロローグ」で次のように語る。  本書では、そもそも建国神話はどういう内容なのか、なぜそれが近代日本で重要な意味を持つことになったのか、そしてそうなったことが近代日本の社会、そして戦後日本社会にいかなる影響をもたらしたかを探っていきます。そのことは、近代日本の歴史の一端を明らかにするだけにとどまらず、歴史というものが社会とどのような関係にあるのか、歴史教育はどうあるべきか、さらに、われわれは歴史とどのように付き合っていけばよいのか、といったことを考える格好の手がかりになるはずです。(本書7ぺ) 新しく知ったこと  ◎1937年文部省発行の『国体の本義』は,敗戦までに200万部は売れただろうこと。…だから,うちの本棚にもあるんだな。とても難解だったということで,ちゃんと解説本も出たという。しかも,『国体の本義』で取り上げられた思想は,次のようなものだと言える。 本居宣長の『玉くしげ』、 会沢正志斎の「新論」、そして「教育勅語」、これらの延長線上にこの『国体の本義』があることは一目瞭然です。ただし、ここで新しく明記されていることがあります。西洋の哲学なり政治思想、そしてその根本にあるとする個人尊重への批判です。つまり、明治維新後の日本では、西欧的な個人尊重の思想が普及したために社会が不安定になったので、本来の日本を取り戻そうというのが『国体の本義』の趣旨だったのです。(本書153ぺ) ◎1930年~45年ごろであっても,子どもたちに「建国神話」を教えるのは難しかったらしいこと。やはり,神話は神話でしかなく事実ではないことを,子どもも気づいてしまうのだろう。 東京文理大学教授・有高巌は,1937年に発行された教師用指導書で次のように述べる。 しかし、そのため(自動に疑問を起こさぬようにする)の具体策は提示されず、「神代史の取扱は一面より云へば老練なる特殊の技巧を要するが、その技巧は其背後の人格の光を伴ふものでなければ、実際上の効果はあげ得ない。こゝにも教師の神代史への深い教養と、神代精神、即ち日本の国体精神を体得し実践しつ、あることが、総ての基調をなすと申す事が出来る。神代史の取扱は最も困難ではあるけれども、決して不可能ではなく、これをなし得る人こそ優れた歴史教育家」とまとめます。つまりは 建国神話の正しい授業は普通の人にはできないと言っているのと同じで、これではやはり皆深入りせずに済まそうとしてしまうでしょう。(本書167ぺ) もう少しちゃんと感想をまとめたい気もするが,ま,いいか。

Posted by ブクログ

2023/08/08

皆さんは「神話」と歴史をごちゃまぜにしていないだろうか?第二次世界大戦前の日本では、『古事記』『日本書紀』に記された「神話」が歴史上にあった「史実」として語られていた。このありえない状況の背景には明治政府や社会の要請からの様々な理由があった。本書は、その理由を解きほぐしながら、我...

皆さんは「神話」と歴史をごちゃまぜにしていないだろうか?第二次世界大戦前の日本では、『古事記』『日本書紀』に記された「神話」が歴史上にあった「史実」として語られていた。このありえない状況の背景には明治政府や社会の要請からの様々な理由があった。本書は、その理由を解きほぐしながら、我々の認識自体の危うさを問い直している。「歴史学」受講者には特におすすめ。(町田祐一) 日本大学図書館生産工学部分館OPAC https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000288133&opkey=B169881813556864&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0

Posted by ブクログ

2022/06/25

「記紀」は天皇制や古代国家体制の正当化が目的。「古事記」は文芸作品や歴史書ではなく「祭政一致氏族政治時代の国家統治上の口詔的伝承を組織した」「今日の憲法、行政法の如きもの」。「日本書紀」も「律令官僚制の基礎をなす氏族制的な政治体制の中で、各氏族の家記の神話を正史という枠のなかに取...

「記紀」は天皇制や古代国家体制の正当化が目的。「古事記」は文芸作品や歴史書ではなく「祭政一致氏族政治時代の国家統治上の口詔的伝承を組織した」「今日の憲法、行政法の如きもの」。「日本書紀」も「律令官僚制の基礎をなす氏族制的な政治体制の中で、各氏族の家記の神話を正史という枠のなかに取り込み王権への従属性を強める意図があった」「奈良時代の支配層にとって現代の王権の根本としての神話である」というものである。 このような神話が、その作られた目的やその後どのように時々の政権に利用されてきたのか時代に沿って分析している。

Posted by ブクログ