貴金属の知られざる科学 SUPERサイエンス

齋藤勝裕(著者)

• 販売会社／発売会社: シーアンドアール研究所
• 発売年月日: 2019/12/23
• JAN: 9784863542969

商品レビュー

2022/01/01

高校でものすごい化学が得意だった人、または大学で化学系を先行していた人には、すこし物足りない感じがする貴金属の蘊蓄本。
でもですね、どうしても、金・銀に情報が偏ってしまいますが、仕事に就いてから久しく、金属元素にまつわるあれこれ、例えば
　Au ＋ NOCl ＋Cl2 + HCL→H[Au(CN)2Cl4] + NO
という化学式を見てニヤッとし、家族から、あーまただよ、と思われるようなタイプの方には、楽しめると思います。休み期間中の読書として純粋に楽しかったです（ちなみに、上の式は、王水と金の反応式の途中）。
そういう意味で、化学式や元素記号にアレルギーのある方は好きではないかもしれません。そこまで多くはないですけど。
ネタとして、金はシアン化カリウムやヨードチンキに溶ける、とか、金が含まれている薬（金チオマレイン酸Na、金チオリンゴ酸Na、金チオグルコース）がリウマチ治療薬になっているけど機序が分からない、とか金がコロイドになって溶けたガラスは赤く見え、ステンドグラスに使われており、その発展に寄与したのは19世紀フランスのルイス・ステファニーという天才だった、とか銀は殺菌性のせいか毒キノコの判断に使われているがそれは迷信だ、とか、トリビア的にも面白かったです。
暇つぶしや飲み会時のうんちくにいいかもしれませんね。