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アメリカーナ(上) 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2019/12/06 |
JAN | 9784309467030 |
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アメリカーナ(上)
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商品レビュー
4
2件のお客様レビュー
この本は今読むべき本だと思い、手にとった。 ナイジェリア出身の主人公イフェメルがアメリカに渡り、アメリカでの黒人の階級が低い事を痛烈に体感する。 人種差別について深く考えたことがない私は驚きやら悲しみやら初めての感覚を味わった。
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上手く口には出せない思い。表に出ることのない感情。そうしたものを可視化して、たくさんの人に伝えることが出来るのが、小説や文学の強みかな、と思います。 そして、その強みを存分に発揮している作家の一人が、このチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。彼女の描く”ナイジェリア人”から見たア...
上手く口には出せない思い。表に出ることのない感情。そうしたものを可視化して、たくさんの人に伝えることが出来るのが、小説や文学の強みかな、と思います。 そして、その強みを存分に発揮している作家の一人が、このチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。彼女の描く”ナイジェリア人”から見たアメリカの姿は、社会や文化、そして生活に埋め込めまれ、意識されることすらなくなっているかもしれない、偏見や差別、アメリカに住むアフリカ系の人々の苦悩を映し出します。 上巻で主に描かれるのは、イフェメルというナイジェリア出身の女性。主に彼女が留学するまで、そして留学後のアメリカでの生活が描かれます。 希望を抱いてアメリカへ渡ったものの、待っていたのは厳しい現実。アルバイトをしようにも、職が見つからず家賃の支払いにおびえる日々、アメリカとナイジェリアの文化のギャップに苦しみ、アメリカの本や雑誌を読み、なんとかアメリカという国を知り、同化しようとするものの…… この上巻で印象的だったのは、母からもらったメンソレータムを鼻の下に塗って、その匂いをかいで涙ぐみそうになるイファメルの姿。 新天地へ期待に胸を膨らませながらも、現実とのギャップに苦しみ、故郷を思い出す姿は、進学や就職なんかで親元を離れた経験のある人は、多かれ少なかれ感じるものがあるんじゃないかなあ。アディーチェの作品は、日本人の自分からするとなじみの薄い設定が多いです。それでも心つかまれるのは、こうした共通して抱けるような感情を、しっかりと描いているからだと思います。 さらに、アディーチェ作品ですごいと思うのは、可視化されない思いや真実を描く視点を、アメリカの社会に向けるだけでなく、自分たちにも向けること。 アメリカ内では”黒人”というカテゴリに組み込まれるアフリカ系の人々。その人々の中にも嫉妬であったり、ヒエラルキーであったり、またアメリカに対する過剰な憧れであったり、そしてアメリカに住む中で、徐々に自身を黒人として受け入れアイデンティティを失っていく姿であったり。 自分で自分たちの常識や考え方に疑いを持ち、メスを入れるのは難しいと思うのですが、アディーチェはそれもやってのけてしまいます。 そしてそうしたものを、直接的に文章で書くのでなく、人々の言葉のやりとりや感情、実際の行動を通して描くのもまたすごい。文庫の著者紹介で『抜群の知性としなやかな感性で繊細な物語を紡ぎ出す』とあるけど、本当にその通りだと思います。 ジェンダーをめぐる視点も相変わらず鋭い。イファメル自身も性を売り物にせざるを得ない状況に直面するのですが、イファメルのおばであるウジュの描き方も印象的。ある意味で男性に振り回される彼女の半生も、結婚や恋愛のあり方、そして女性がどうあるべきなのか、男性はどうあるべきなのか、考えてしまいます。 ちなみにこの話は、イファメルと彼女のパートナーであった、オビンゼの話でもあります。序盤に登場した後、上巻の最後まで彼の視点は描かれないのですが、その最後の場面が、また波乱を予感させる出だし…… 祖国では普通の人だと思っていた自分が、アメリカやイギリスに渡った途端に、ヒエラルキーの最下層に置かれるという、あまりにも酷で理不尽な現実。その社会の先で二人が何を見るのか。自分にはまったく想像がつかない展開が待っていそうで、楽しみでもあり、不安でもあり……。
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