キッチンの歴史 新装版 料理道具が変えた人類の食文化

ビー・ウィルソン(著者), 真田由美子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2019/11/28
• JAN: 9784309227948

商品レビュー

2022/11/27

鍋やカトラリー、さまざまな調理器具、キッチンのでき方の発展を、時系列で追って概観する。

人が火を使って料理するようになってから、その火をいかに囲い込み、コントロールしてきたか。電気がなかった時代、氷を作るのが大変だった時代、調理用暖炉で肉をローストしていた時代。貴族と平民の食事の違いは、もちろん経済的な格差から来るものが大きいわけだが、仮に同じ食材が目の前にあったとしても、そもそも時間をかけて食材をつぶしたりローストしたりする人手も場所も道具もない平民にとっては、不可能なものが多かったのがよく分かる。

電動のハンドミキサーがなかった時代、アシの束で3時間かけてクリームを作ったことを思うとため息が出る。家事は大変、とはいうものの、袋に入った小麦粉やグラニュー糖、冷蔵庫で保管するバター、肉や香辛料を入れて回せば素人でもパテが簡単にできるフードプロセッサーに囲まれた自分の生活に、改めて感謝できる一冊。

2020/03/27

調理器具の撮影やレシピ監修の仕事もしている私。この本から、とても大きな影響を受けています。食材を考察するのではなく、料理道具と料理テクノロジーが人類の味覚・食習慣・食文化をどのように変化させたかを分析した一冊。フォーク・包丁・冷蔵庫・分子ガストロノミー etc... 道具から考察する食の文化論です。