商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2019/11/20 |
JAN | 9784622088806 |
- 書籍
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回復まで 新装版
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作家・恋人・女という多面的なアイデンティティの多くをひどく傷つけられ、どん底に落ちたサートンの「この人生の意味と、持続していることの感覚を」回復させられるようにもがく日々の記録。 最初は「愛や作品に結晶した、あらゆる心の戦いや苦痛には価値があるという信念」を失ったとはっきり書いていて、それ自体が私にとってもショッキングではあった。「独り居の日記」でその信念に触れて、命綱を見つけたような気分だったから。 それを回復させるとかできるなどとはけっして書かないのが、傷の深さを物語る。「回復させられるかどうか、やってみる」から始まり、その後も何度も、できるだろうか?私はどうなるのか?と自問している。 そして乳がんの手術を契機に現れる、ゆっくりとした回復への苦難の道のり。孤独と交流とのバランス、痛みや辛い体験と向き合うこと、自分だけではなく、大切な人の老いを見つめること。ぽつりぽつりと染み出すように、冷静な視点で苦しみから搾り取られた思索が生み出されていく。 精神の再生を不死鳥のイメージで何度も描写しているけれど、終盤の柔らかく温かい精神の高揚を読むにつけ本当に灰の中から甦る美しい炎のような何かを見せてもらっているという気持ちになる。 孤独には孤独でない時間、つまり他者との交わり、それに伴う痛みも喜びもまるごと必要なのだ、ということが繰り返し強調されていて耳が痛い。 独りで本を読んでいればいいってものではないと、分かっているけど…。
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