商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2019/11/08 |
JAN | 9784334754136 |
- 書籍
- 文庫
ミドルマーチ(2)
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ミドルマーチ(2)
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商品レビュー
4.4
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19世紀イングランドにおける架空の地方都市ミドルマーチを舞台に多彩な人間模様を描く。第3部と第4部を収録。 複雑かつ絶妙に絡み合う人間関係が面白すぎる第2巻。主要となる人物のみならず、脇役やちょっと出のキャラクターにも魅力が満載だが、さしあたり主に気になるのは次の3つの愛のゆく...
19世紀イングランドにおける架空の地方都市ミドルマーチを舞台に多彩な人間模様を描く。第3部と第4部を収録。 複雑かつ絶妙に絡み合う人間関係が面白すぎる第2巻。主要となる人物のみならず、脇役やちょっと出のキャラクターにも魅力が満載だが、さしあたり主に気になるのは次の3つの愛のゆくえだ。 1.ドロシアとカソーボンの夫妻、それに関わるウィル・ラディスロー 2.リドゲイトとロザモンド 3.フレッドとメアリ、フェアブラザー? 男性名を使っているが作者は女性なので、不美人でも賢く、強い輝きを放つメアリという人物は作者の自己投影が色濃く反映されているのではないかと想像する(本名メアリ・アン・エヴァンズだし……)。そして、女性の心理がよく描かれているのはわかるが、この作者は何故こんなに男性の気持ちがわかるのだろう?と不思議になるほど、カソーボンやリドゲイトの心の軌跡には共感するものがあって感動を覚えた。 本作の主要人物はほとんどが姻族関係でつながっていることもあり、「相続」という問題が大きなファクターとなっている。これの如何によってその人物の運命が大きく変わってくるわけで、良心的だが軟弱なフレッド君が翻弄される様子が本巻の見どころの一つ。幼なじみのメアリが彼についてどう考えているのか、今ひとつ見えにくいのももどかしくて面白い。さらにフェアブラザー牧師というライバルも現れて……? 順調になるようになってしまうリドゲイトとロザモンド。出会いから恋愛に至る描写にウットリしてしまった、一部の文章は書き写してメモに残してしまったほど上手い。しかし、この二人にはどこか不協和音を感じさせる要素があり、どうなるかわからないがこれが先の伏線にもなっているのだろう。 そして、やはりこの物語のメインディッシュはドロシアの愛のゆくえだろう。個人的にはかなり共感を覚えたカソーボンという人物。ウィルとの対立と病のため、彼の運命には徐々に不穏な空気が立ち込めていく。夫と心が噛み合わず、すれ違うドロシアは妻としての努めを果たすべく真摯に向かい合うが、無意識的にウィルに惹かれていくのが見えて、自分としては心が痛かった。彼らの運命はいかに?とても引き込まれる人間模様だ。 ドロシアとカソーボンとウィル、リドゲイトとロザモンドは、『アンナ・カレーニナ』におけるアンナとカレーニンとヴロンスキー、リョーヴィンとキティの関係に構造が似ている(名前までどこか似てない?)。しかし、それぞれのキャラクターの性格はかなり異なっているので、結末はまったく違う方向に行きそうだ。これらの対比も考慮しながら、この先も楽しんでいきたい。 さらに、カソーボンVSウィル、カソーボンVSリドゲイト、ウィルVSリドゲイト、ロザモンドVSメアリなどなど、作品内で各人物が直接絡むとは限らないが、いくつもの人間性のコントラストが物語世界を彩っている点も見逃せない。 当時の政治情勢や農地の実情、前衛的すぎるリドゲイトによって示される科学・医学へのリテラシーの問題など、人間関係以外にも考察すべき要素が多々ある。ただ情報量が多すぎるので、そのあたりは再読時に掘り下げることにしよう。そう、本作は二読三読に値する類稀な傑作なのだ。
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心理描写等ジェイン・オースティンから多くの影響を受けているところもあるだろうが,それよりもさらに地域社会の観察に特化した書と言える。人々の変化はそれなりに大きかったが地域としての変化は少ない,と感じたことは覚えておく。訳者については,解説にある「〈分別〉と〈多感〉」という視点が興...
心理描写等ジェイン・オースティンから多くの影響を受けているところもあるだろうが,それよりもさらに地域社会の観察に特化した書と言える。人々の変化はそれなりに大きかったが地域としての変化は少ない,と感じたことは覚えておく。訳者については,解説にある「〈分別〉と〈多感〉」という視点が興味深い。
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人間性は悪くはないけれど,フレッドのいい加減さにげんなりし,うまく行っているような人々も何かしら綻びが見え,うまく行ってない人々はこれからどうなるのかと嵐の予感にはらはらする.ほんと面白い.
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