商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 工作舎 |
発売年月日 | 2019/10/29 |
JAN | 9784875025139 |
- 書籍
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女王の肖像
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女王の肖像
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ロンドンの切手商にふらりと立ち寄ったのをきっかけに、少年時代に熱中した切手蒐集の道に再び嵌まり込んだ著者がその魅力を語る。 四方田さんの著作のなかでも特に軽い読み心地のエッセイ。小〜中学生時代のコレクションに施したイラストなどが載っていてとても可愛い。 切手蒐集趣味全盛期とい...
ロンドンの切手商にふらりと立ち寄ったのをきっかけに、少年時代に熱中した切手蒐集の道に再び嵌まり込んだ著者がその魅力を語る。 四方田さんの著作のなかでも特に軽い読み心地のエッセイ。小〜中学生時代のコレクションに施したイラストなどが載っていてとても可愛い。 切手蒐集趣味全盛期といえる70年代の思い出話も楽しいが、それ以上に切手を通して世界の政治を眺める章が面白い。切手システムの生みの親であり、自国の切手には国名を書かず植民地の切手に女王の肖像を刻ませたイングランド。毛沢東が文革時代に大量に刷った真っ赤な切手。ユーゴスラヴィアから亡命した人びとがヨーロッパにアピールするために作ったクロアチア切手。日本が植民地化した東アジアで使われていた切手に残る二度刷り。米軍占領下の沖縄で作られた独自の切手。「切手は、大国が子供部屋で差し出す名刺である」というベンヤミンの言葉通り、切手というミニチュアのプロパガンダを通じて子どもたちは世界を見ていたのだ。 王族や時の主導者の肖像を使った切手は、イギリスをはじめ世界中にある。だが日本は皇族を切手にするのは慎重に避けてきた。そこには畏敬の対象を映像化しないという古来の呪術的な考え方があるのではないかという。一方で、肖像切手は庶民に強烈な刷り込みを与えるプロパガンダになりうるが、同時にその顔の横に少額の値段が書いてあることで肖像の人物を矮小化もする。日本政府がこのことに気づいているのだとすれば、日本にカリカチュアの文化が根付かないのにも一役かっているのかもしれない。 私も小学生時代に一瞬だけ切手を集めていたけど、ディズニー柄の切手を集めるばかりで国際情勢にまで興味を広げなかった。今思えばディズニー柄なのにアメリカだけじゃなく色んな国からでていたのは、切手コレクターを狙って外貨を獲得する手段だったのだなぁ。
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映画学者で1953年生まれの著者が、小学生時代から続けてきた切手収集について語ったエッセイ本。お父さんがダイハツで輸出業務を担当していたことから、注文郵便に貼られた世界の切手を目にする機会が多かったといい、豊富な留学体験も相まって、視点は国際的である。中国の文化大革命時の切手(...
映画学者で1953年生まれの著者が、小学生時代から続けてきた切手収集について語ったエッセイ本。お父さんがダイハツで輸出業務を担当していたことから、注文郵便に貼られた世界の切手を目にする機会が多かったといい、豊富な留学体験も相まって、視点は国際的である。中国の文化大革命時の切手(スローガンだけ書かれた赤い切手)とか興味深く読んだ。 日本で皇室の肖像を描いた切手が皇太子成婚を除いてないことを世界でも異例なことと分析。「強力な権力者にしたところで、ひとたび切手に描かれた瞬間から額面表示の奴隷と化してしまう」「いかに神聖不可侵とされる映像でも、切手となった以上は消印という残酷な試練を免れることはできない」という。御真影の伝統がある日本ではなおさらタブーだったのであろう。 現在の日本の記念切手乱発についても著者は辛辣だ。「新切手の過剰な氾濫ぶりを見ると、逆に複雑な気持ちになってしまう」「切手蒐集が昔日のようなブームを巻起こすことは、もうないだろう」「どこの郵便局でも平然と売っていて、いつでも安価で購入できる切手とは、フェティシズムの対立物である」「人は他人が欲しがらないようなものなど、絶対に自分から欲しがろうとはしない」とは至言だ。
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