商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 法律文化社 |
発売年月日 | 2019/10/11 |
JAN | 9784589040350 |
- 書籍
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日本の経済学史
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日本の経済学史
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日本の経済学の歴史を江戸時代から現代まで通観しようという一冊。啓蒙書、一般書の類だが誰が日本の経済学の歩みに興味をもつのか、それが終始気になった。叙述は平易だが、内容はマニアック。それゆえ想定される読者層も限られてくるだろう。 日本経済思想史学会会員の業績が多く参照されているの...
日本の経済学の歴史を江戸時代から現代まで通観しようという一冊。啓蒙書、一般書の類だが誰が日本の経済学の歩みに興味をもつのか、それが終始気になった。叙述は平易だが、内容はマニアック。それゆえ想定される読者層も限られてくるだろう。 日本経済思想史学会会員の業績が多く参照されているので自分にとっては既知情報が多い。参照していただけるのはまったく結構な話なのだが、もうちょっと橘木先生のオリジナルな観点からの批判的紹介も欲しかった。もちろん、まったくそういうポイントがなかったわけではない。いくつかの重要な点において鋭いなと思うコメントもあり、そこは勉強になった。 しかし、誤字誤植が多すぎる。パレートがパレードになっていたり、数学とすべき箇所が数字になっていたり(複数箇所)、学会が学界となっていたり……。もうちょっと丁寧な校正が必要だろう。
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Twitterで紹介されていて気になっていたので、日本に帰ったときに買っておいたうちの一冊。 タイトルどおり、日本における「経済学」がどう変化してきたかの歴史を概観した一冊である。 本書の面白さは、江戸時代〜現代までの経済学の流れを中心的な経済学者を追う中で、どういう時代背景...
Twitterで紹介されていて気になっていたので、日本に帰ったときに買っておいたうちの一冊。 タイトルどおり、日本における「経済学」がどう変化してきたかの歴史を概観した一冊である。 本書の面白さは、江戸時代〜現代までの経済学の流れを中心的な経済学者を追う中で、どういう時代背景がその時の経済学に影響を与えたか、を読み取れるところにあると思う。経済学という学問でありながら、現実の経済を分析するという点において実社会と引き離せない経済学の本来的な性格をお物語っている。 これは、学問としての研究という面だけではなく、教育の面にも現れている。たとえば法学部の一部でしかなかった経済学が学部として独立する背景には、大正時代に産業革命を経験し、資本主義的な発展を重視し始めた時期に官僚的な人材だけではなく、産業人を育成するために経済学を重要視したという背景があるという。(PP.56-57) 私にとって、経済学というのはなんとなく「2種類」あるものであった。それは今となっては歴史的に有名な学者に基づく経済思想と呼ばれるものと、今現在大学での教育の中心となっている近代経済学の理論や実証方法である。これらの間には大きなギャップが私の中ではあり、高校時代によんだ経済学は重商主義だとかの経済思想という哲学的なイメージであったが、大学に入ってから学ぶ経済原論は極めて論理的に経済現象の説明を試みるものであった。 大学院でPh.D. (トップスクールではないが、本書の中でいうアメリカンPh.D.)を取得した私にとって、もちろんその2つの間のギャップがなにかを表面的には理解しているが、当然その考え方新古典派経済学のそれに傾倒しているだろう。本書はそういった様々な経済思想が日本においてどう扱われ、変遷してきたかを理解することができる。いわゆるマル経・近経という言葉も、そういう言葉があったんだな、というような世代なのだが、本書でやっとマルクス経済学のかつての影響力の大きさ、また高度経済成長を背景にした衰退を理解することできた。 ドイツなどヨーロッパからの輸入学問として発達した経済学が、どのように発展したか、そしてまたそれがマルクス経済学や近代経済学にどうつながっていったか、がつかめる本書であるが、個人的に興味深かったのが第8章のアメリカンPh.D.の功罪についてである。(PP.235-241) 特に2点目と3点目として挙げられているアメリカに特有の思想を一般化するということ、またアメリカに特有の制度をもとに考えてしまうことである。たしかに労働経済学などで前提とされているような市場は日本人にはイメージがつきにくい。Hours of work(労働時間)を労働者が決めるようなモデルというのは日本で応用できるのか?と思ったりしたものだ。そこにはもちろんモデル化の際の簡略化が含まれてはいるものの、一般的であるように見えて実は欧米的であったのものもあるのだという点に気がつく。これは日本だけでなくどこでもアメリカが経済学の中心にある状況で難しい問題ではあるが、日本人としては自覚して置かなければならない問題だと思う。 また特筆すべきは、第9章には女性の経済学者についての言及があることである。日本に限らず経済学は男の学問であった歴史があり、今なおそのような面がある。私の所属先であるノルウェーの大学では非常に女性が多いが、それでも女性を登用する努力があっての現在の形があり、今でも女性経済学者向けの会合などが積極的に開かれている。個人的な話だが、私の先輩であるアジア圏出身の方が博士号を取得して就職する際に日本の大学からオファーがあった。日本のほうが実家に近いしいいイメージが合ったので就職を考えたが、教授の在籍者リストを見ると大多数が中年男性であったことのを見て、研究環境などを考えてアメリカの別のオファーを受けたという。そんな日本であるが、少しずつ環境が変わりつつあるし、その流れが強くなればいいと強く思う。そんな中で少ないながら経済学に貢献した女性にスポットがあたっているのが素晴らしいと思う。 各学者についての詳細な記述があり、また詳しい話についてはその都度引用先や参考文献が明示されているのが素晴らしい。一流の経済学者による著作なので、参考文献の明示は当たり前なのかもしれないが、それが一般向けの書籍でもきちんとなされているのは、それが一般向けの文化になるために重要だと感じる。
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