競歩王

額賀澪(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2019/09/18
• JAN: 9784334913076

商品レビュー

2024/07/31

初めての競歩小説おもしろかったです。
長距離走から競歩に転向して部員1人きりで競技に向き合う八千代と、スランプ中の作家・榛名。

どんな道でも専門家じゃなくても、思うようにいかなくて悩んで苦しんだり、もがいたり、自己嫌悪に陥ったりする。

長い時間をかけて少しずつ距離が縮まっていく二人。ベッタリじゃない関係の印象なのに、しっかり絆を感じました。

｢競歩｣について全くの無知なので、ルールを１つ知るごとに新しい世界に繋がっていくようでした。
ルールに沿った歩型があり、審判員の判定よってゴール後の失格もあること。
｢ベント・ニー｣に｢ロス・オブ・コンタクト｣。
20キロや50キロをひたすら歩くなんて過酷。
今まで観戦したことがなかったのですべてが新鮮でした。

先日読んだスケートボード小説｢夜と跳ぶ ｣に続き、オリンピック観戦の楽しみが増しました。
額賀さんの青春小説は、いつも爽やかな感動をくれる。

2024/07/15

スランプの天才高校作家と長距離から転向した孤独な競歩選手。
どちらの二人もなかなか、贅沢な立場で悩んでいるなあと思いつつも、登場人物がお互いに信頼関係を築いていく様子が面白いので読み進めることができた。
なかなか結果が出ず、悩みながら前に進んでいく様子はどんな立場でも同じだろう。
ハッピーエンドはありきたりの結末なんだろうが、違う世界で互いを切磋琢磨して結果を出した結末に好感が持てた。

2023/11/21

大学生の忍と八千代。忍は高校生で作家デビューしたものの、その後なかなか思うように書けなくなっていた。八千代は箱根駅伝を目指していたが成績が振るわず競歩に転向した。競歩がとても魅力にあふれた競技だということが伝わってきた。挫折や苛立ち、嫉妬などを乗り越えていく若さが丁寧に描かれていました。