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幸福な監視国家・中国 NHK出版新書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | NHK出版 |
| 発売年月日 | 2019/08/10 |
| JAN | 9784140885956 |
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幸福な監視国家・中国
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幸福な監視国家・中国
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商品レビュー
3.7
36件のお客様レビュー
本書はジャーナリストと中国経済の学者がタッグを組んで書いた本です。そのため現地での具体的な取材に基づいた記載と、学術的な抽象的なフレームワークに当てはめた議論の両方が盛り込まれていて、私は大変満足しました(どちらか片方よりも示唆が多い)。 印象に残った点は、本のタイトルにもある...
本書はジャーナリストと中国経済の学者がタッグを組んで書いた本です。そのため現地での具体的な取材に基づいた記載と、学術的な抽象的なフレームワークに当てはめた議論の両方が盛り込まれていて、私は大変満足しました(どちらか片方よりも示唆が多い)。 印象に残った点は、本のタイトルにもあるように、中国では功利主義的な価値観から、監視されることがむしろ大多数の人々にとっては功利主義的な幸福の向上につながっているということでしょう。信用スコアの上下に伴って生活の利便性の向上/低下が起き、それが犯罪の抑止だけでなく、マナーの改善につながるなど「お行儀のよい国民」へと変化が進んでいるということです。 もちろん負の側面もあります。それは少数民族に対する「過度の」抑圧で、新彊ウイグルでの知識人の「再教育キャンプ」への連行など、漢民族に対しては起こらないであろう過度の抑圧が行われていることです。これを著者は「道具的合理性の暴走」と呼びます。近視眼的、功利主義的な合理性です(その上位概念的なものが「メタ合理性」)。またネット上にポジティブな情報を意識的に増やそうという「正能量」という概念については、その意図は理解できるけれども、長期的には国民の批判的思考力をかなり弱体化させるのではないかと思いました。批判的思考力が弱くなってしまうと、今後ますますAIのいうことに従うようになるでしょう。 今後のAIの発展の影響という意味では、本書で取り上げられている心の二重過程理論との絡みが興味深かったです。心の二重過程理論では、人間の思考はシステム1(速い思考)、システム2(遅い思考)の2つがあることを示し、システム1が直観的かつ道徳的な思考(オートマチックモード)をさし、システム2が功利主義的で合理的な思考(マニュアルモード)に該当します。そして今後AIが進化すると、人間は負荷の大きいシステム2についてもAIに任せることがあるかもしれない、しかしそれは本書が呼ぶところの「アルゴリズム的公共性」を肥大化させるとともに、「市民的公共性」をやせ細らせることになるだろうということです。これが現在の中国で起こっていることになるわけですが、本書が指摘するように、中国における公共性が欧米的な「市民的公共性」ではなく、儒教的な「天理」に適っていることを意味するとすれば、道徳や倫理が埋め込まれた「アルゴリズム的公共性」が、好き嫌いにかかわらずAIの進化とともに世界中で浸透していくのかもしれないです。いろいろと考えさせられる良書でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
◆市民が便利で治安のよい社会を望むならば監視を歓迎することになる ◆中国のいわゆる「信用スコア」は国自体のシステムではないが、アリババのセサミクレジットは機能している ◆言論の自由がない、と言われるが分かりやすく規制されているのではなく、発信者が気付かないレベルでソフトに規制(誘導)されている … 2019年出版なので、コロナ禍などを経てさらにどう変化したのかも知りたいところ。 なかなか私には難しくて、社会学や経済学あたりの知識・教養があればなあ…
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筆者が描く、主に民間による個人信用データを活用した社会秩序維持・拡大による「幸福」の向上は、中国の経済成長が順調だった時代には当てはまるのだろう。 筆者は「天理」だか「徳」だかという現代中国に生き残っているかどうかもわからない概念に依存し、ある意味性善説に則り功利主義が全体最適...
筆者が描く、主に民間による個人信用データを活用した社会秩序維持・拡大による「幸福」の向上は、中国の経済成長が順調だった時代には当てはまるのだろう。 筆者は「天理」だか「徳」だかという現代中国に生き残っているかどうかもわからない概念に依存し、ある意味性善説に則り功利主義が全体最適に帰結するかのように説くが、コロナ禍の上海での人権弾圧や筆者も指摘するウイグル族に対する民族浄化、昨今の不動産バブル崩壊に端を発する経済停滞、政府による「国進民退」という民業圧迫、突発的無差別殺人などの社会不安に直面し、観光客が本邦で無作法に我が物顔で振る舞う彼の国に対して、筆者たちは何を書くのだろうか。
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