どうして肌の色が問題になるの？ 国際化の時代に生きるためのQ&A5

ニケシュ・シュクラ(著者), クレア・フーチャン(著者), 大嶋野々花(訳者)

• 販売会社／発売会社: 創元社
• 発売年月日: 2018/12/18
• JAN: 9784422360089

商品レビュー

2025/05/25

子供用に作られているけれど、濃ゆい内容

日本にいると見えないこと。感じないこと。
知らないことは罪だ。イギリスに生活拠点を置くインド、アフリカアジア系の人の差別に関する率直なエッセイが載っている。
【普通って何？】
例えば、誰かが「私は人種差別主義者じゃないし、そもそも肌の色なんて見えてないもの」などと言ったとしたら、馬鹿な発言に感じられるでしょう。だって肌の色は目に見えるのですから。「私はあなたをあなたの肌の色に応じて扱ったりしません。私はあなたを普通の人間として扱うことにします。」ということ自体は一見良さそうなのですが、一体何が普通で普遍的で標準的なのかについて考え始めるとそう良い態度とは思えなくなってくるでしょう。肌の色はこれが普通の色だと言う考えが存在してるからこそ問題になってくるのです。肌の色の違いや私たちと異なる背景を持って人との違いを認め合うことができれば、これが普通だとはっきり言えるものは多分ないのだと言うことがわかってくるでしょう。

【ステレオタイプ】
たった１つのストーリーしか受け入れなければ、ステレオタイプが出来上がります。（例えばピンクは女の子の色，のような）ステレオタイプの問題は、それが真実でないことではなく、不完全であると言うことです。あるストーリーを「唯一のストーリー」に変えてしまいます。たった1つだけのストーリーは、結果として人の尊厳を奪い、私たちが等しく人間であることを認めるのを難しくし、お互いの類似点よりも差異を強調します。（チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ）

【考えてみよう】
⭐︎白人についてのステレオタイプにはどんなものがあるか考えてみよう。何も思いつかない場合は、もしステレオタイプがあるとすれば、どんなものか想像してみよう。
⭐︎あなたは人種差別を体験したことがありますか？あなたの身の回りの人はどうでしょうか？
⭐︎ベッキーは、ナイジェリア人でアウト共に黒人で、自分のことを「黒人の英国人」だと表現ししています。あなたは自分をどう表現したいと思いますか？あなたの民族的背景のどの部分を強調したいと思いますか？
⭐︎あなたは自分がどこに属していると思いますか？あなたは自分についてどう表現したいと思いますか？
⭐︎もし何をしても絶対に安全だとしたら、人種差別に立ち向かうにはどういうことができると思いますか？その時緊張しますか？それとも楽観的な気持ちですか？それともその両方？それはなぜですか？

【自尊心と自己表象】
多様性の表彰のあり方は、自尊心だけでなく、自分にどういう生き方ができるか想像する力にも密かに影響を及ぼします。自分に似た登場人物が冒険に出て恋に落ち、芸術家になり、宇宙を旅するのを見ること、そしてスーパーでパンを買うと言うのに、日常的な用事をこなしているのを見ることでさえ肯定感とインスピレーションを得るために重要です。

私と同じような外見の人が私のやりたいと思ったことをやっているのを見るまで、自分にもそれができるようになるかもしれないとあまり考えていなかった。映画で同じような人が出演しているのを見たとき、私は女優になれるんだとふいに気がついた。私たちは可能性の種を植えているのです。（ルビタ・ニョンゴ）

【身近なところで起きる差別】
誰かを人種差別主義者呼ばれするのとその人の発言が人種差別的だと指摘することには大きな違いがあります。誰かにある発言が人種差別的だったことを伝え、その理由を説明すれば、その人が学び、自分の振る舞いについて反省して、自分を変えるチャンスを与えることができるでしょう。ですが、誰かを人種差別主義者と呼んでしまえば、残念ながらその人は自分を守ろうとして、今までの考え方にしがみつくことが多く、そうなってしまうと、まともな話し合いをするのが難しくなる。