SKET DANCE(文庫版)(12) 集英社C文庫

篠原健太(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2018/11/16
• JAN: 9784086197380

商品レビュー

2018/12/17

ふと思ったが、（１１）の表紙に、「バレンタイン・クライシス」ではなく、「ゲスリング部の危機」を持ってきたのは、この（１２）の表紙の印象を好くするためだったのでは
新たなメンバーも迎え、これまでの伝統は受け継いだうえで、自分達の形も努力で作っていくって、椿がトップに立つ生徒会の、これから強くなっていく絆の形が描かれているのか
一番、自分を変えたい、と望んでいるウサミがセンターってのは、篠原先生から読み手へのエール・・・さすがに、これは深読みが過ぎるか
そんなこんなで、この（１２）で印象的だった回を三つ紹介
第２００話「妹の悩みに悩む兄に悩む妹とその仲間達」（後編）
サーヤの恋愛問題を誤解し、暴走していた安達惣司郎の思考の曇りが、一気に晴れ渡る決着を、この２００話って言う、キリの良い数字に持ってきた篠原先生のストーリーを組み立てて動かす力には、ただ、脱帽
ここまで拗れていた問題が、たった一つの気付きで、あっという間に自己解決する所も、惣次郎の凄いとこなんだろうが、それ以上に、ボッスンにならサーヤを任せられる、そう、兄として受け入れる器が尋常じゃない
しかし、余計なお世話かも知れんが、惣司郎は自分の事も考えるべきだろうに。恋愛しなきゃ人生の損失だとは言わんが、自分も恋愛しても良いと思うね。ただ、彼のデカさを受け止められるイイ女が、その辺にいるかってのが問題だよな
第２０５話「オクルコトバ 答辞」
言うまでもないが、前の回、第２０４話「オクルコトバ 送辞」が良かったからこそ、この回はグッと来るのだ
篠原先生の執筆ペースや、他の連載作品との折り合いもあったにしろ、この回は巻頭か巻中カラーでも良かったのではないか、漫画を作る素人としちゃ思っちまう
最初から最後まで、安形惣司郎はカッコイイ生徒会長で、最高な男だった、それしか言えない、己の漫画の感想を書いて伝えるレベルの低さが嘆かわしい
第２１５話「Cheeky Rookie」（後編）
ボッスンもまた、様々な人と触れ合う事で成長してきてたんだなぁ、と感じる回。先輩かつ最上級生としての貫禄を見せつけた、と言い換えても良い
確かに、タクトら新入生は有能だ。それぞれの能力を掛け算する事で、依頼の成功、つまりは正解に辿り着いた点は見事だ。けれど、人助けってのは、時に正解に到るだけじゃ最良とならない。タクトらの敗因は、自分達でも認めているが、勝ちにこだわり過ぎて、気付くべき本質を見過ごしていた事
もう慢心はしない、と決意した事で、あえて、スケット部から潔く手を引いたタクト達。随分と可愛げがある、と感心した矢先に、まさか、こんな隠し玉があったとは。やはり、一筋縄じゃ行かない後輩どもだ
この台詞を引用に選んだのは、これしかない、と感じたので
この（１２）にも、多くの名言もしくは珍言がある
しかし、それすらも霞むほど、安形惣司郎の言葉には力があった
理屈じゃないのだな、と思った、言霊は
普通の者にはしっかり届き、本物に近い者にはガッツリ響く
やはり、彼のような漢をカリスマ、もしくは、王と言うんだろうな
安形惣司郎って傑物が、大学で、どんだけ大暴れし、改革を為し、そして、社会に出ていくのか、不安のような、楽しみなような