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¥1,760
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商品レビュー
4.2
34件のお客様レビュー
出版社(東京大学出版会)ページ https://www.utp.or.jp/book/b372461.html 内容紹介、目次、著者紹介、試し読み、関連記事(リンク)
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高校生と東大教授による政治にまつわる対話をまとめたもの。必ず正解があるというわけではないテーマであればこそのレベルの高い意見交換がなされていると感じた。選挙制度はあれこれ変えにくいものであるとは思うが、正しく民意が反映される制度であってほしいと思う。
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政治学者の宇野重規と豊島岡女子学園中高の生徒による、2017年に行われた5回の講義、対談集。アメリカのトランプ第一次政権のことにも触れられている。社会における対立を解決する手段としての政治や民主主義の考え方を取り扱う。働き方や、修学旅行の行き先を決める教室内の力関係などの身近なテ...
政治学者の宇野重規と豊島岡女子学園中高の生徒による、2017年に行われた5回の講義、対談集。アメリカのトランプ第一次政権のことにも触れられている。社会における対立を解決する手段としての政治や民主主義の考え方を取り扱う。働き方や、修学旅行の行き先を決める教室内の力関係などの身近なテーマを通して、社会の構造的な差別や、不均衡な力関係による不公平が社会に存在することなどを例示し、その中で社会に参加し、社会を変えるための方法として、政治の考え方を紹介している。その中では、ルソー、ヒューム、ヘーゲル、カント、アーレント、ウィリアムジェイムス、トクヴィル、そしてロールズに至る、西洋の政治哲学や、ピケティの経済学などを引き、異なる人と共に、頭をかち割ることなく生きる「民主主義」をどのように成り立たせるか考えていく。平易な文体であるものの、前述の思想の流れや、そのほかの最近の民主主義に関わる有益な著作が紹介されており、率直にいい入門書といえる。とくに中高生が読むのにちょうどいいかもしれない。 個人的に面白かったのは、宇野が学生と話している中で、自分が若い頃は素直に民主主義が広がり平和な世界になっていくだろうと信じていたが、今の学生はもっと社会が多様であり対立もするものだと受け入れている、ということに気づき感心する一節。バブルやソ連崩壊などを青〜壮年期に経験してきた著者の世界への向き合い方と、まさに10代を移民問題や内紛が勃発し先進国でも経済の停滞する2010年代に生きている学生の世界への向き合い方は異なる部分がある、ということに気付かされた。 なお、宇野は「悲観主義は気分、楽観主義は意志」と、アランの幸福論を引用して、学生たちにそれでも未来を明るく変えていくよう誘っているのだが、大人が読むには全体的に楽観的なトーンすぎやしないかと思った。 とくに2025年、トランプ第二期に入り移民が強制送還されたり世界経済が関税で混乱したり、ロシアは戦争を止めず、イスラエルはパレスチナへの攻撃を続け、中国の台湾への圧力も強まり、日本社会でも陰謀論を掲げる政党が存在感を強めていたり、生成AIの技術発展が続いたり、世界は激変している。この中でこの本を読むと、楽観的すぎ(というか、危機感がなさすぎ)だと思う。 今後必要なのは社会への信頼や、社会への参加意識であり、そのためにはこういう現実の問題に触れて考えることが大切だと考える。中高生がまず身の回りから考えるのは賛成だが、大人はそれもそうだし、社会の現実問題に向き合う必要もあるなと思った。
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