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雪ぐ人 えん罪弁護士 今村核
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雪ぐ人 えん罪弁護士 今村核

佐々木健一(著者)

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雪ぐ人 えん罪弁護士 今村核

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 NHK出版
発売年月日 2018/06/21
JAN 9784140817490

雪ぐ人

¥1,650

商品レビュー

4.7

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2022/11/10

 日本の刑事裁判の有罪率99.9%に挑み続ける弁護士、今村核さんのドキュメンタリー。2016年に放送されたNHKの番組の取材内容を盛り込んだもの。  冤罪がどう作られていくのかという点に関して、『証言の心理学』という中公新書と、『虚偽自白を読み解く』という岩波新書で読んで興味を持...

 日本の刑事裁判の有罪率99.9%に挑み続ける弁護士、今村核さんのドキュメンタリー。2016年に放送されたNHKの番組の取材内容を盛り込んだもの。  冤罪がどう作られていくのかという点に関して、『証言の心理学』という中公新書と、『虚偽自白を読み解く』という岩波新書で読んで興味を持っていたが、弁護士の立場から、否認事件を担当するとはどういうことなのか、99.9%になってしまう(暗数を含めるとこの数字がさらに上がってしまう)司法の構造的な問題点がどういうことなのか、ということを全く分かっていなかったということが、本当に恐ろしいことだと思った。つまり、この本で取り上げられている痴漢の冤罪事件のようなことは誰しもに突然起こることというのが恐ろしい。最後の「司法の病」の章で、「えん罪を生み出す刑事司法の構造を見て、その中に自分が入ってしまったわけですから、もう徹底してやるしかない」(p.222)、「いや、俺はね、他の弁護士はなんでそこまでやらないのか、逆に不思議で。刑事司法のえん罪を生み出す構造を見て、その中に入ってしまったわけですから、それはもう徹底してやるしかないじゃないですか。僕はただ真面目なだけで、『変わってる』とかよく言われるけど、心外ですよ。」(p.161)と語る今村さんについて、鑑定依頼を受ける別の教授は「安っぽい正義感とかではなくて、『本当にこれを変えていかないと、日本の刑事司法はどうなっていくんだ』という危機感が、彼の中にはあると思うんです。誰もがいつ、その制度の中に放り込まれるか、分からないわけですよね。だから、試行錯誤している。どのように証明していけば、間違った判断をしない裁判になるのか。そのための努力は惜しまない。そういう使命感を彼からひしひしと感じます」(p.223)と述べている。この「誰もがいつ、その制度の中に放り込まれるか」という部分は、本当ひとごとじゃないよな、と思ってしまい、なんかこの本を読むと電車に乗ることすら怖くなる。「被害者の女性の思い込みに基づいて結論を導き出すことが可能なら、誰でも犯人にされてしまう危険性があるわけです。」(p.205)ということが怖い。  この本では一貫して、なぜ今村さんは冤罪事件を担当するようになったか、という点を軸にして、今村さんの普段の様子を追っていくドキュメンタリーだが、キレイなドラマの弁護士とは全く違う、そして冤罪事件ばかりを担当していった結果「”破滅”しかない」(p.11)という絶望が語られる様子に、現実の厳しさをこれでもかと感じずにはいられない。  最後は余談だが、青年期の今村さんの様子を描いた部分、父親を憎み、母親から逃げようとした部分、というのは、日々中高の教員をしているおれには印象に残るけど、今の時代こういう中高生は少数派なのかなと思う。「無意識に子どもを呑み込んじゃう親とかいますからね。」(p.137)と今村さんは語るが、今の時代無意識でも意識的でもとにかく呑み込み、子どももむしろ積極的に呑み込まれてなんぼ、みたいに思ってるんじゃないかなと思う。あと、「弁護士って一応、法律の専門家とされてますが、重要なのは有罪か無罪かと言う事実認定なので、法律知識なんてほとんど関係ないんですよ。(略)本当の勝負ってそこじゃないから。知識として法律だけを知っていても勝てないんですよ」(p.159)という部分も、弁護士という仕事について、全然知らなかったなと思った。最後まで興味を持って読めた。(22/11/10)

Posted by ブクログ

2021/11/19

『99.9刑事専門弁護士』。この数字はドラマ用にデフォルメされたものと思いきや、それが日本の現実で、覆すためのハードルがこんなに高いとは…。 今村核弁護士の弁護活動には頭が下がるし、希望にも思えるけど、それがひとりや少数派のままだと自分が冤罪事件の当事者になった時どうなるのかが...

『99.9刑事専門弁護士』。この数字はドラマ用にデフォルメされたものと思いきや、それが日本の現実で、覆すためのハードルがこんなに高いとは…。 今村核弁護士の弁護活動には頭が下がるし、希望にも思えるけど、それがひとりや少数派のままだと自分が冤罪事件の当事者になった時どうなるのかが簡単に想像できすぎて恐ろしい。 実社会には松本潤もいなければ、HEROの木村拓哉もイチケイのカラスの竹野内豊もいないので…もはやどこから手をつけたらいいのかわからないほど根が深いけれど、一歩ずつ進むしかないし、進んでいけると信じたい。そのためにも今村弁護士を追ったドキュメンタリー番組。再放送を強く希望します。

Posted by ブクログ

2020/01/28

来月のとある読書会の課題図書。 無罪を証明するのにかかるコストについて考えさせられた。 冤罪弁護は儲からない、故に弁護士個人の執念、というかそういう執念を持ち得るようになる弁護士個人の資質によって、冤罪弁護がなりなっているのだとしたら、それは健全な司法とは言えないんじゃないか、と...

来月のとある読書会の課題図書。 無罪を証明するのにかかるコストについて考えさせられた。 冤罪弁護は儲からない、故に弁護士個人の執念、というかそういう執念を持ち得るようになる弁護士個人の資質によって、冤罪弁護がなりなっているのだとしたら、それは健全な司法とは言えないんじゃないか、と思う。

Posted by ブクログ

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