商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 潮出版社 |
発売年月日 | 2018/06/02 |
JAN | 9784267021367 |
- 書籍
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ラダックの星
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ラダックの星
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商品レビュー
4.2
5件のお客様レビュー
子供の頃はすべてが新鮮だった。 父親と一緒に捕まえたカブトムシの光沢や ここからどこまでいけるのかと 自転車を漕ぎまくったときの足の痛み。 パチパチと喉で弾けるコーラの味。 そして初めて握った女の子の手の柔らかさ。 すべての物事を自分の中に刻み込み 新しい明日、新しい刺激に心...
子供の頃はすべてが新鮮だった。 父親と一緒に捕まえたカブトムシの光沢や ここからどこまでいけるのかと 自転車を漕ぎまくったときの足の痛み。 パチパチと喉で弾けるコーラの味。 そして初めて握った女の子の手の柔らかさ。 すべての物事を自分の中に刻み込み 新しい明日、新しい刺激に心を震わせる。 しかしどうにもならないことだが 人は年を重ねるたびに心の震えを失っていく。 代わりに心のうえに積み重なっていくのは いろいろなものを失っていく喪失感だ。 主人公であり書き手のアキは 友人のミヅキを死というかたちで失う。 ぽっかりと空いてしまった心の穴を埋めるため アキは世界一綺麗といわれる ラダックの星を見に行こうと思い立つのだ。 とにかく我慢ならないくらい 澄んでいて輝いている綺麗な星を。 アキはラダックへ行く道中で考え続ける。 なぜミヅキは死んだのか 死ななければならなかったのか。 けれど誰も何も答えてくれない。 それでもアキは考える ミヅキの死だけでなく 私たちの心に降り積もっていく喪失感を じっくりとひっそりと黙々と。 そしてアキは気づくのだ。 大切なのは喪失から目を背けることではなく いつかの子供のときのように その喪失をしっかりと受け止め 自分の中に刻み込むこと。 子供の頃のようにもう心は震えることはない しかし刻み込んだ喪失を抱えて また新しい明日を生きなければならないのだ。 アキの目の前に突然現れた こぼれるようなラダックの星の光。 それは立ち向かったものしか 見ることのできない救いという名の光。
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※このレビューにはネタバレを含みます
インパラの朝が衝撃的で 面白くて、あっという間に読み終えただけに 旅の話と友達との昔の話が交互に行き交って 個人的には少し入ってきにくい内容だった。 なぜ別々に書かずに 旅の話の所々にミヅキの話を入れたのかな。 もしかして旅の途中途中で思い出した場面のかなぁ とか考えたりした。 中村さんの書く言葉は 詩的で儚げで美しさもあるのに わかりやすく、その時の情景が目に浮かぶ。 人は悲しみや悔しさややりきれない想い、 期待、希望、夢、いろんなものを抱えて旅に出る。 そして癒されたり、忘れることができたり、 希望に変わったり、新たな目標ができたりして いくものなのだろう。
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とてもよかった。 手元に置いておきたい本。 著者の個人的な過去の体験を結びつけて、旅をする物語。 星を追い求めにいったが、本当に出逢いたかったものは、その後の美しく輝く黄金色の世界だったのかもしれない。 過去の棚卸し。ザックの中身を全て抜き取るようにして、本当に必要なものだ...
とてもよかった。 手元に置いておきたい本。 著者の個人的な過去の体験を結びつけて、旅をする物語。 星を追い求めにいったが、本当に出逢いたかったものは、その後の美しく輝く黄金色の世界だったのかもしれない。 過去の棚卸し。ザックの中身を全て抜き取るようにして、本当に必要なものだけに絞る作業。 さながら登山のように前に進む事で、今までの自分が想定していた道ではない、それを超えたものに出逢えることもある。 振り返ることで前を向ける。 最後の登頂シーンは、山の美しさと厳しさが荘厳に描かれており、とても美しかった。
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