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歌集 滑走路
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歌集 滑走路

萩原慎一郎(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 角川文化振興財団/KADOKAWA
発売年月日 2017/12/26
JAN 9784048764773

歌集 滑走路

¥1,320

商品レビュー

4

69件のお客様レビュー

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2025/11/02

図書館から借りた 切ない歌が多い。 非正規社員として? 人として? 彼にとっては短歌が 心の中を吐露できるところだったのかも しれないな、と。

Posted by ブクログ

2025/10/30

「一万円選書」でいわたさんが紹介されていたのをきっかけに読んでみた。 歌集って初めて読んだかもしれない。 短歌とは縁のない人生で(それこそ学生時代に国語の授業で触れたぐらいか)、どう読めばいいの?という感じだったが、とても読みやすい本だった。 たった31文字でこんなにも豊かな表...

「一万円選書」でいわたさんが紹介されていたのをきっかけに読んでみた。 歌集って初めて読んだかもしれない。 短歌とは縁のない人生で(それこそ学生時代に国語の授業で触れたぐらいか)、どう読めばいいの?という感じだったが、とても読みやすい本だった。 たった31文字でこんなにも豊かな表現ができるものかと驚かされた。 短い言葉の中に、いろんな感情や背景が想像できる。 どう受け止めるのかが小説以上に自由度高いように感じた。 身近なことを綴った歌がたくさんあり、共感できるものも多かった。 いじめや非正規雇用など辛い経験もされてきたとのこと。 そういう人だからこそ人の心の動きに敏感で、言葉をこれだけ丁寧に紡ぐことができたのかもしれないなと感じた。

Posted by ブクログ

2025/10/23

 著者の萩原さんは1984年生まれで、私は彼と同じ世代に属する。いわゆる就職氷河期世代という奴で、この歌集はその時代の空気と切り離して読むことができない。  就職氷河期は団塊ジュニアとも重なる世代で、ただでさえ人数が多いところに、バブル崩壊で仕事が激減。だからちゃんとした大学を出...

 著者の萩原さんは1984年生まれで、私は彼と同じ世代に属する。いわゆる就職氷河期世代という奴で、この歌集はその時代の空気と切り離して読むことができない。  就職氷河期は団塊ジュニアとも重なる世代で、ただでさえ人数が多いところに、バブル崩壊で仕事が激減。だからちゃんとした大学を出ても、就職できるのは一部だけ。私の同期にも内定が出ないまま卒業を迎える者がたくさんいた。就活生の人権などは無いも同然で、面接官が目の前で履歴書を破るとか、グループディスカッションで誰を不採用にするか話し合って決めなさいとか(結局全員落とされるのだが)、まるで若者たちの希望をどこまで無慈悲に踏みにじれるかというゲームでもしているみたいだった。ようやく採用された会社がブラック企業でも、辞めれば次の行き先なんてないから泣き寝入りせざるを得ない。そういう時代背景を頭に留めながら読んでほしい。  そして、本作の重要なキーワード「非正規」のニュアンスにも触れておく必要がある。非正規雇用は上のような事情を抱えた者が「不本意で」なるものだった。いつでもクビを切れる非正規は文字通り「いくらでも代わりがいる」わけで、それは世の中から「必要ない」と言い渡されたにも等しい。私自身非正規だったときは、人間としても非正規を宣告されたような気分だった(現代でこれに近い言葉を探すとしたら「底辺」がそれに当たるだろうか)。   非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ──67ページ  非正規にもう一度チャンスが回ってくることはない。当時の首相が「再チャレンジできる社会」というスローガンを掲げたが、それは裏を返せば再チャレンジできない人間がたくさんいたということである。非正規は非正規でしか雇ってもらえず、転職を繰り返しても給料は上がらないし、キャリアの積み重ねにもならない。年齢だけが増えていき、先細りになる将来。   今日願い明日も願いあさっても願い未来は変わってゆくさ──22ページ この一首で歌われているのは「未来は変わる」という希望ではない。願っても願っても変わらない未来であり、いつまでも描くことのできない未来である。そんな未来を「〜ゆくさ」と投げ槍に詠んでいる。そんな気がする。   更新を続けろ、更新を ぼくはまだあきらめきれぬ夢があるのだ──14ページ 更新は契約の更新であり、人生の更新でもある。非正規にとって契約を更新できるかどうかは命綱であり、期限付きの人生を更新して生きている感覚なのだ。「続けろ」と自分を叱咤しなければ、もうお終いにしてしまいたくなる人生。   腹ぺこのおなか満足させてくれ 牛丼屋にて大盛り頼む──127ページ 何度も登場する牛丼には思わず苦笑してしまった。なぜ牛丼か。それは深夜でも営業していて、コンビニ弁当より安く腹を満たせるものが他にないからである。あの頃は本当に牛丼屋に助けられたものだ。普段は並盛りで、たまに贅沢をして大盛りを頼む。そんな食生活まで目に浮かんでしまう。  もちろん作者は絶望ばかり詠んでいるわけではない。20代らしい恋の歌もある。何と言ってもこの歌集を上梓することは、作者にとって何よりの悲願だったはずである。にもかかわらず、彼は本書の刊行と刺し違えるようにして自死した。なぜ死ななければならなかったのか、本当の理由はわからない。しかし、どうすれば彼が生きられたか、それを問い続けることがせめてもの手向けだと思っている。

Posted by ブクログ