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啓蒙 叢書・ウニベルシタス1072
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啓蒙 叢書・ウニベルシタス1072

ドリンダ・ウートラム(著者), 田中秀夫(訳者), 逸見修二(訳者), 吉岡亮(訳者)

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啓蒙 叢書・ウニベルシタス1072

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 法政大学出版局
発売年月日 2017/12/04
JAN 9784588010729

商品レビュー

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2023/05/08

このような分野についてはまったくの素人で、啓蒙という概念を学んでみたいと思い本書を手に取りましたが、本書を読み終わって啓蒙が理解できたかというと、むしろ読む前よりもわからなくなっている、というのが正直な読後感かもしれません。ただそれは肯定的な意味であって、啓蒙という概念がいかに複...

このような分野についてはまったくの素人で、啓蒙という概念を学んでみたいと思い本書を手に取りましたが、本書を読み終わって啓蒙が理解できたかというと、むしろ読む前よりもわからなくなっている、というのが正直な読後感かもしれません。ただそれは肯定的な意味であって、啓蒙という概念がいかに複雑で時には矛盾した事象を引き起こしてきたか、という点については本書から学ぶことができたのでそこは満足しています。 啓蒙という概念を無理やりにでも解説せよ、と言われたら「理性を用いて批判的に思考すること」と答えるかもしれませんが、カントの啓蒙観が冒頭に紹介されているように、啓蒙がゆきすぎると社会や伝統を壊す力があること、それゆえに啓蒙という概念は文句なしに素晴らしいとは言えないということです。 また啓蒙という概念がややこしいのは、国によってその意味合いが異なることです(ただし研究者の中には、啓蒙は普遍的で世界共通だと主張する人もいるらしい)。フランスでは脱宗教、あるいは君主制を打倒して共和制を樹立する(フランス革命がそのゴール)のような文脈で啓蒙が使われましたが、プロシアではむしろ宗教の改革が進む、あるいは君主の正当性を違う文脈から支えるように使われたとのこと。また啓蒙が合理性を重視するのと同時に「自然」への回帰を目指すという、多くの場面で両立できない要素を抱えていたことがわかります。本書では啓蒙が進む社会の中にある多くの矛盾が指摘されます。啓蒙知識人が奴隷制を維持し続けたことがその例です。ただ奴隷制反対運動は間違いなく啓蒙活動の中から深化し、長い時間をかけてそれが廃止されたことは啓蒙の影響だとは思いました。本書のオビに「破壊か?創造か?」と書かれていますが、まさにそのどちらでもあり得たのが啓蒙でしょう。経済、学問、宗教、統治構造などを破壊したところもありましたし、創造した国もあったわけです。繰り返しになりますが、本書を読んで啓蒙が理解できたかというと、読む前以上に良くわからなくなっているのが正直なところですが、啓蒙という概念の曖昧さ、両義性などは良くわかりました。

Posted by ブクログ

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