教室で使える発達の知識 発達が凸凹の子どもたちへの対応

山田章(著者)

• 販売会社／発売会社: クリエイツかもがわ
• 発売年月日: 2017/11/01
• JAN: 9784863422230

商品レビュー

2021/07/01

教室で使える発達の知識　発達が凸凹の子どもたちへの対応　山田章（２０１７）

１章　発達に凸凹のある子どもたち
２章　実行機能の思考の柔軟性に弱さのある子どもの困り感とその支援の方法
３章　注意集中に課題のある子どもの困り感とその支援の方法
４章　聞いたことをまとめるのが苦手な子どもの困り感とその支援の方法
５章　見たことをまとめるのが苦手な子どもの困り感とその支援の方法
６章　作業するのが得意で、考えるのが苦手な子どもの困り感とその支援の方法
７章　考えるのが得意で、作業するのが苦手な子どもの困り感とその支援の方法
８章　ユニバーサルデザインの授業第一段階とその３つの注意点
９章　先生が使える《発達の凸凹発見ツール》
10章　実践編　よくある事例から発達を学んでみよう

特性の強いお子さんについて、相談をくれるめんめんさんが紹介してくれた本。
特支weeeekが来たため読了に漕ぎ着けました。

障害名ではなく、お子さんのタイプごとに書かれていることが特徴だと思います。

発達に凸凹のある子どもたちが、発達上のどの弱さのために、どんな場面のどんなところでつまずいて困ってしまうかを説明し、それに対して、どんな個別の支援をすればよいかを説明してくれています。
また、「そのようなお子さんが学級にいる場合にとりあえずこれらのことをしておけば授業に参加できないことはないだろうという、ユニバーサルデザインの授業づくりの第一段階の目安みたいなもの」（P108)をわかりやすい言葉でしっかり説明されている本です。
特別支援を生業としている先生や、そこそこ経験を積んだ通常学級の先生など、特別支援教育中級の先生におすすめの一冊でございます。

感想を一言で言うと、「あー、リアル」でした。中にはストレートな表現やパワープレー的な指導方法もあるので、全てに賛同できるわけではないですが、そこも含めてとてもリアルだなぁと思いました。学校という集団生活の中で「指導しなければいけないことは指導する」という信念が感じられます。
あまり逃げ場がない１対１の関わりの中で、どちらが主導権を握るのかこの人はどこまで許してどこまでやってくれるのかパワーゲームのような駆け引きをしたり、気を抜いた時やお互いに限界を迎えた時に起こった事が何日もかけないと修復できない、もしくは修復できないまま進んでいったりしたことが思い出されました。まずは、話をしてもいいと思ってくれたり、こちらの話を聞いてくれたりする人間関係を作ることからなんですけどね。その関係の作り方もハウツーとしても書かれています。

私は実際の関わりの中で、いろんな失敗をして子どもを傷つけながら学んでいったわけですが、この本をもっと早く読んでいれば、感情に流されて互いにしんどくならずに済んだかもしれないなぁと思います。なので、子どもとの押し引きに負けて主導権を奪われてしまう先生、知力と権力でねじ伏せてしまう先生に是非とも読んでいただきたい一冊であります。

本を読みながら、紹介してくれためんめんさんとこの本を読んで自分はどういうスタンスで子どもと関わろうと思うか話し合えたのも良かったでござんす。さすが、心の友٩( ᐛ )و