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物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年 中公新書2456
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2017/10/18 |
JAN | 9784121024565 |
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物語 フィンランドの歴史
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13世紀よりスウェーデン王国と帝政ロシアの統治下に置かれ、20世紀初頭の独立後もヨーロッパ西側諸国とソ連との対立に翻弄されながらも巧みな外交術で中立を貫き、経済的にも成功を収めたフィンランド。本書はその歴史を主に独立後の近現代を中心に記述する。中でも長きにわたるロシアとの関係に...
13世紀よりスウェーデン王国と帝政ロシアの統治下に置かれ、20世紀初頭の独立後もヨーロッパ西側諸国とソ連との対立に翻弄されながらも巧みな外交術で中立を貫き、経済的にも成功を収めたフィンランド。本書はその歴史を主に独立後の近現代を中心に記述する。中でも長きにわたるロシアとの関係に関する記述に興味をそそられる部分が多かった。 まず注目すべきなのは北欧・ヨーロッパとロシアの中間に位置するという不安定な地理的条件がフィンランドの国家的・民族的アイデンティティの醸成に一役買ったという点だ。 たとえば、中近世に栄華を極めたスウェーデン王国が「フィランド戦争」でロシアに敗れて以後、フィンランドはロシア統治下に入るのだが、スウェーデンとの緩衝地帯に位置するこの国でのスウェーデンの影響力が強まることを恐れたロシアはフィンランドに高度な自治を容認した。長らくスウェーデン王国の強い影響下にあり文化的アイデンティティを確立しにくい状況が続いていたが、ロシア統治下でもフィンランド語の公用が容認されるなど、ロシアが懐柔策を用いざるを得ない状況が存在したことは注目に値する。 また、20世紀に入りロシア革命後のボリシェヴィキ政権はあっさりとフィンランドの独立を容認するのだが、民族自決を旨とする同政権のポリシーはあったにせよ、フィランドでも革命が起こりロシアと共に社会主義国家の嚆矢となることが期待されていたからだと著者は指摘する。 第二次世界大戦ではドイツの勢力伸長に対する危機感を抱いたソ連により侵攻を受け、ナチスドイツとの連携を図るも結局敗北。しかし、亡命政府設立などフィンランドが西側に接近する事態を恐れたソ連は早期休戦を選択。戦後、ソ連とは「FCMA条約」なる相互援助契約を締結し親ソ路線を歩むのだが、その条約内に「大国間の利害紛争の外に留まりたいというフィンランドの願望を考慮し」という、国際条約としては異例とも言える一文を挿入させることに成功し、「中立国」としての立場を危ういながらも維持することになる。ソ連と西側諸国の懸念を巧みに掻い潜り、名目的にはどちらの陣営にも与しないながらも両陣営から実質的な外交的支援を得る「パーシキヴィ・ケッコネン路線」の絶妙な歩みどりには喝采を送りたくなる。 このように、フィンランドはその地理的・政治的な位置条件を最大限に利用して、致命的な紛争に巻き込まれるのを防いだばかりか、対立する勢力から巧みに譲歩を引き出すことによって今日の繁栄を享受しているのだと言える。その処世術には今日の我が国から見ても倣うべきところが多いように思われた。
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フィンランドはロシアから独立した。ロシア支配下は過酷という印象があるが、最初から必ずしも当てはまるものではない。フィンランド大公国としてロシア帝国とは別の国として扱われた。皇帝が支配する帝国の方が後のソビエト連邦やロシア連邦よりも異民族の自治を認める面がある。連邦という体制は分権...
フィンランドはロシアから独立した。ロシア支配下は過酷という印象があるが、最初から必ずしも当てはまるものではない。フィンランド大公国としてロシア帝国とは別の国として扱われた。皇帝が支配する帝国の方が後のソビエト連邦やロシア連邦よりも異民族の自治を認める面がある。連邦という体制は分権的に見えるが、実は中央集権的であり、欺瞞がある。 冷戦中はソビエト連邦に妥協的であった。バルト三国の独立運動支持も他国より遅れて批判された。そのフィンランドも、ロシア連邦のウクライナ侵略後はNATO加盟を打ち出した。ウクライナ侵略がグローバルスタンダードからは暴挙であることを物語る。 フィンランドの料理はまずいと言われることがある。フィンランド料理の特徴は伝統的に入手しにくかったため、スパイスをあまり使わないことである。それで不味いと言われるならば、素材の味を理解していない人の言うことであり、むしろ名誉になるだろう。
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ムーミンやマリメッコ、福祉国家、進んだ教育、サウナというイメージで日本人にも馴染みが深いフィンランドという国が、ロシアやスウェーデン、デンマークにドイツといった大国に挟まれ、紆余曲折しながら1917年に独立を勝ち取り、ノキアの成功とともに成功を勝ち取ってきた歩みを入門的に概観でき...
ムーミンやマリメッコ、福祉国家、進んだ教育、サウナというイメージで日本人にも馴染みが深いフィンランドという国が、ロシアやスウェーデン、デンマークにドイツといった大国に挟まれ、紆余曲折しながら1917年に独立を勝ち取り、ノキアの成功とともに成功を勝ち取ってきた歩みを入門的に概観できる良書。スウェーデン語が公用語の長い時代を経て、フィンランド人としてのアイデンティティを勝ち取り、ラップランドの住民たちと移民の融和の歩みをSISUの精神のもと感じられる。世界一まずいお菓子サルミアッキを噛み締めながら、じっくり2回か3回は読んでおきたい本だ。
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