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中国はなぜ軍拡を続けるのか 新潮選書
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中国はなぜ軍拡を続けるのか 新潮選書

阿南友亮(著者)

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中国はなぜ軍拡を続けるのか 新潮選書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2017/08/01
JAN 9784106038150

中国はなぜ軍拡を続けるのか

¥1,650

商品レビュー

4.4

12件のお客様レビュー

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2024/02/19

中国はなぜ軍拡を続けるのか、中国の国内状況から説明する。 しかも孫文の中国革命から国共内戦時代を経て現在に至るまで軍事にとらわれずに辿るので、中華人民共和国の歴史を知るという意味でも大変勉強になる。 建国当初、政府組織は実体がなかったため、解放軍が行政の前面に立っており、これは軍...

中国はなぜ軍拡を続けるのか、中国の国内状況から説明する。 しかも孫文の中国革命から国共内戦時代を経て現在に至るまで軍事にとらわれずに辿るので、中華人民共和国の歴史を知るという意味でも大変勉強になる。 建国当初、政府組織は実体がなかったため、解放軍が行政の前面に立っており、これは軍事管制と呼ばれた。解放軍の掌握が権力の基盤となるため、国家主席や党総書記よりも中央軍事委員会主席が重要なポストだった。十元帥の1人だった彭徳懐は、解放軍の現代化、正規化を目指したが、廬山会議で毛沢東の大躍進に中止を求め、これがきっかけで毛沢東と対立し、文化大革命では迫害にさらされがん治療も許されず悲しい死を迎えた。林彪が国防部長を務めたいた時期はソ連との関係が悪化、人民戦争へ回帰し、軍人が政治的に台頭したが、林彪も反逆者のレッテルを貼られた。軍の重鎮を迫害した四人組は、毛沢東が死去してからはリベンジに遭い、一網打尽にされた。 バランサーとして鄧小平が台頭し、改革・開放路線へと舵をきったが、胡耀邦、趙紫陽といった改革派は梯子を外され失脚した。第二次天安門事件は共産党の首脳にトラウマを植え付け、西側諸国には中国が軍を使って民衆を迫害したということで国際社会でのイメージも悪化した。鄧小平の後の江沢民、胡錦涛という文民主席は、解放軍の後見を必要とし、軍拡という軍との共生関係を補強した。中国と日本の国交正常化も、中国の民衆のあずかり知らぬところで決まっていて、しかも情報が偏っているのだから中国社会の世界観が混乱したという指摘。生産手段を共産党が独占していたため、党幹部の懐が潤う一方で法治が整っていないためにその財産を海外に逃がしてしまうため、国内に富みが循環しない構造があった。国内をまとめるために排外主義を使い、それで民衆が排外主義的になることで中国の外交政策は自縄自縛状態というのがなんとも。 2017年時点で著者は中国軍の能力には懐疑的だが、現在の本当のところはどうなんであろうか。例えば海軍艦艇であれば数が増えているだけでなく近代化もしているとみているが、これが実際どうなのかは戦争が起きてみないとわからないかも。

Posted by ブクログ

2024/01/29

中国もとい、中国共産党の統治のあり方の欠陥とそれを補うための対外政策としての排他的ナショナリズム。もちろん「国際社会」との関係も描いているものの、国内との関係、党内のパワーバランスなどから考えるというのは新しい視点。毛沢東時代からのチェンジに見えた鄧小平の「改革・開放」における欠...

中国もとい、中国共産党の統治のあり方の欠陥とそれを補うための対外政策としての排他的ナショナリズム。もちろん「国際社会」との関係も描いているものの、国内との関係、党内のパワーバランスなどから考えるというのは新しい視点。毛沢東時代からのチェンジに見えた鄧小平の「改革・開放」における欠陥、江沢民指導部における排他的ナショナリズム・「中華民族の偉大なる夢」、胡錦濤の難しさ、また今日も続く習近平指導部に至るまで書かれる(習近平指導部に至っては1期目まで)。 「党軍」である人民解放軍のプロフェッショナリズムと党との関係性の相剋、党を支える組織としての解放軍のジレンマというものが見受けられる。国防部長の彭徳懐、林彪の二人の路線と失脚、ここから「党軍」としての難しさを感じさせる。 また、対外関係に基づく行動にも詳細に書かれ、1950年代末までのソ連からの技術援助、米中接近・正常化以降の西側からの軍事技術供与、第二次天安門事件以降の能力向上の方法、これについても書かれている。また西側諸国のEngagement 政策と中国の外交姿勢をもとにその関与政策の根本的難しさ、そこから生まれた経済的相互依存のジレンマというものを中国、西側諸国(とりわけ日米)というものを描いている。 また、人民解放軍の2017年ごろまでの装備の歴史、それに対する軍種ごとの評価(海軍、空軍、ロケット軍ー第二砲兵)、それが持つ意味などについても詳細にまとめられている。 国内における統治と対外政策を結びつけて総合的に論じられている。また、日本では報道などでは変化ばかりが強調されるものの、連続性の要素を多く論じている。 さらに「対話をしてこなかったから」「対話をすればよくなる」「経済交流をすれば日中関係は改善する」という日本で当時から多い論調に対しても、日本政府・財界の努力を評価した上で根拠をもって批判を行なっている。 専門家の書いた著書であるが7年前の本であるため、今日とは少し異なった人民解放軍ということには配慮は必要である。人民解放軍、中国共産党のこれまでの「軍拡」の理由の一側面として読む分には申し分のない一冊だと思う。

Posted by ブクログ

2023/04/03

冷静に現代中国を見つめることは、極めて難しい。 警戒するにせよ友好を叫ぶにせよ、その前提は信頼できる書き手による本書のような冷静な分析である。経済安保はもちろん必要である。しかし、あまりにも遅すぎると苦言を呈したい。 *詳細な紹介は、ブログ「下手の本好き読書録」 (http:/...

冷静に現代中国を見つめることは、極めて難しい。 警戒するにせよ友好を叫ぶにせよ、その前提は信頼できる書き手による本書のような冷静な分析である。経済安保はもちろん必要である。しかし、あまりにも遅すぎると苦言を呈したい。 *詳細な紹介は、ブログ「下手の本好き読書録」 (http://kr253rk.blog.fc2.com/)をご覧下さい。

Posted by ブクログ

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