商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2017/07/31 |
JAN | 9784104752133 |
- 書籍
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学生を戦地へ送るには
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学生を戦地へ送るには
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商品レビュー
3.9
12件のお客様レビュー
無性生殖ではなく、自らの遺伝子を薄めてでも多様性を確保し、あらゆる環境に対して種全体の生存確率が高まる有性生殖を選んだ。こうして人類は、異性を求め、競争しながら共益を考える、利他と利己のアンビバレントな存在になった。そう考えると、田辺元に哲学的な裏付けで誘導されなくても、来るべき...
無性生殖ではなく、自らの遺伝子を薄めてでも多様性を確保し、あらゆる環境に対して種全体の生存確率が高まる有性生殖を選んだ。こうして人類は、異性を求め、競争しながら共益を考える、利他と利己のアンビバレントな存在になった。そう考えると、田辺元に哲学的な裏付けで誘導されなくても、来るべき時に戦地に赴く内在的理由を我々は有していそうだ。田辺元に関わらずに戦った多くの兵士たちを思えば、悪魔の哲学は、そうした時代の空気感からの産物であり、これが故に自己犠牲に駆り立てたものではない、と言えないか(別に、戦死への因果については佐藤優も触れていない)。つまり、このお話は、あの時代、戦争にどハマりするような哲学があったという話だ。 佐藤優が講義で述べる。田辺元の8割の主張は、正しく、後半2割の主張が危い。最後の2割で伝えたかった事は下記の文言だ。尚、余談だが、いつだって、彼の受講生は優秀だ。 「個人がなし得る所は種族の為に死ぬ事である」「個人は種族を媒介にしてその中に死ぬことによって却って生きる」 確かに過激だが、しかし、完全に誤っているとも言えないだろう。戦争を回避する姿勢は重要だが、家族を守るために、自らの死を捧げることの尊さは、田辺元に言われなくても身に付いているし、寓話化、アニメ化、劇場化されたようなコンテンツは山ほどあるじゃないか。戦争自体は正当化しないが、戦争における兵士の自己犠牲は、本分ではないかという気がするのだ。 そんな事をどっぷり考えさせられる。箱根に泊まりながら、受講者同士で意見交換する。羨ましい時間だが、本書を読めば、参加した気持ちになりお裾分けされた気分だ。
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なかなかヘビーな書籍を読了! 8割の正論の中に、2割の悪を入れるといいらしい笑 ただ、佐藤氏は悪を作ることを助長しているわけではなく、正しいようなことの中に、ちょっとした悪を入れる思想が広まることの危険性の系譜をしてくれている。
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2015年におこなわれた著者の講座の内容をまとめた本です。 1939年に京都大学でおこなわれた田辺元の講演『歴史的現実』のテクスト全文を読み、著者が解説をおこなっています。ほかに、国策映画『敵機来襲』を鑑賞し、また柄谷行人の『帝国の構造』の一部を読むこともおこなわれています。ま...
2015年におこなわれた著者の講座の内容をまとめた本です。 1939年に京都大学でおこなわれた田辺元の講演『歴史的現実』のテクスト全文を読み、著者が解説をおこなっています。ほかに、国策映画『敵機来襲』を鑑賞し、また柄谷行人の『帝国の構造』の一部を読むこともおこなわれています。また、講座参加者との質疑応答のやりとりも収録されていて、臨場感をあじわうことができるように思いました。 哲学のテクストをていねいに読み解く講座を書籍化するという試みは、仲正昌樹がおこなっており、本書もそうした内容を期待していたのですが、仲正の本とはかなり異なる印象を受けます。 著者は、田辺が『歴史的現実』の講義によって受講者である学生たちを戦争へと駆り立てていったと述べています。そのうえで、戦争の危機がしだいにせまりつつある現代において、こうした扇動に引っかからないための処方箋として、『歴史的現実』のテクストを読むという目的を語っています。そのためなのか著者の解釈は、『歴史的現実』のテクストに含まれているアジテーションとして有効な議論のしくみを暴くということにのみ向かっており、仲正の講義のように哲学のテクストの背後にあるさまざまな文脈をひとつずつ拾いあげるということには向かっていません。 もちろん著者自身の専門のひとつである神学にかんする補足情報や、現代の国際政治の問題に通じるような観点が含まれていることを指摘するなど、多少テクストの重層的な意味についての考察がなされているところはあるものの、全体としてはやや単線的な議論になってしまっているように感じてしまいました。
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