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島田謹二伝 日本人文学の「横綱」 人と文化の探究13
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ミネルヴァ書房 |
発売年月日 | 2017/07/25 |
JAN | 9784623076239 |
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島田謹二伝
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島田謹二伝
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ぼくが島田さんの著作に初めて触れたのは『ロシアにおける広瀬武夫』である。広瀬と言えば、日露戦争の旅順港で不明の部下を追い亡くなった軍神としての姿が一般には浮かぶが、島田さんは広瀬をロシアを愛し、ロシアの女性を愛した一人の人間として生き生きと描いた。聞けば、本書は島田さんが東大を退...
ぼくが島田さんの著作に初めて触れたのは『ロシアにおける広瀬武夫』である。広瀬と言えば、日露戦争の旅順港で不明の部下を追い亡くなった軍神としての姿が一般には浮かぶが、島田さんは広瀬をロシアを愛し、ロシアの女性を愛した一人の人間として生き生きと描いた。聞けば、本書は島田さんが東大を退職するときの「卒業論文」だったそうだ。本書はその島田さん敬慕してやまない小林信行さんが、島田さんの学者としての生涯、功績を時代順に記録したものである。そこには島田の著作に対する書評等がことこまかに引用されている。(だから、ちょっと疲れるときがある)本書はもともとミネルバ書房の評伝選の一冊に入る予定であったそうだが、ぼくが見ても評伝というよりは詳細な書誌である。そこで「人と文化の探究シリーズ」に入ることになった。ぼくは本書を読みながら、島田にとって台湾での教育研究生活の重みを感じた。そして、あらためて島田の代表的著作である『日本における外国文学』を読み返してみた。そこには東大の比較比較文学の創業者の意気込みと矜持が感じられる。島田の弟子である平川祐弘氏は『東京新聞』『中日新聞』の書評の中で、本書を評価しながら、島田がいかに多情多恨で、台湾時代も戦後も家族を苦しめた側面を描いた、娘の齊籐信子さんの『筏かづらの家―父・島田謹二の思ひ出』を挙げていた。ぼくはこちらの方が気になり、高価な古書であったが買い求め読んだ。文章をあまり書いたことがないと言うだけあり、文章は読みやすいとはいえない。半分くらいまでは台湾時代の父にかわいがられた生活が牧歌的に描かれていて、いいところのお嬢さんはこんな生活をしていのかと思わせる。トーンが変わったのは、島田が香港の図書館長として一人赴任したころからだ。信子さんははっきりとは書いていないが、それは島田が女と暮らし始めたころであったろう。敗戦後島田一家は日本に引き揚げてくるが、島田はあるとき、布団をもって出奔し、家に帰らなくなった。大黒柱をうしなった家族がたどった悲惨な運命は想像に難くない。上の弟は冬山で遭難死、下の弟は自死。続いて母もガンで倒れる。しかし、そうした中でも信子さんの父に対する思いの根底は揺るがなかったようだ。それは幼少期に受けた父のいっぱいの愛がそうしたのかもしれない。そして彼女は最後、父が亡くなるまでの介護を夫ともに引き受けているのである。
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