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キャリバンと魔女 資本主義に抗する女性の身体
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キャリバンと魔女 資本主義に抗する女性の身体

シルヴィア・フェデリーチ(著者), 小田原琳(訳者), 後藤あゆみ(訳者)

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キャリバンと魔女 資本主義に抗する女性の身体

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 以文社
発売年月日 2017/01/01
JAN 9784753103379

キャリバンと魔女

¥5,060

商品レビュー

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2025/08/14
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“主婦である私がマルクスの資本論を読んだら”で紹介されていた本の中で1番読みたかった本。 中世から近世までの歴史を振り返ると、資本主義が家父長制を呼び込み、強力に世界をその制度のもとに抑え込んでいき、その寸法に合わないものを徹底的に排除していく様子が凄まじい。 ペストで労働者人口が減り、労働者の要求が通りやすくなったことが、ヨーロッパで封建制度の解体につながった、それを14世紀とかにやってのけていたことにまず驚いた。日本はまだ鎌倉時代から室町時代くらいか。それも束の間、資本主義が台頭し、労働をいかに安く確保し、富を蓄積するかという原理により、人間をいかに効率よく、従順に働かせるかが唯一のテーマの世界に入っていく。コモンズを活用し自分の食べ物を作れていた時代から、貨幣経済に移るなかで、労働者がどんどんと搾取構造から逃げられなくなっていく様子が描かれて苦しい。 労働者に食事を与え、疲れを癒し、次の世代の労働者を産み育てる。これを資本家のコストではなく、女性に押し付け、無償でその労働力を搾取する。そのために、共同体で治療や出産の知識があり、社会の中で働いていた女性を賃労働から排除、賃金を稼ぐ男性に頼らなければ生きていけないようにする。妊娠をしないようにしたり、中絶を促す薬草などの知識がある女性を魔女だとして何十万人も殺害する中で、女性の社会の中での価値を切り下げ、低い地位を固定化してきた。 アメリカ大陸でも同様の構図、また少し遅れて資本主義が入っていったアフリカ諸国では、1990年代にも魔女狩りがあった、という記述に驚いた。 共産主義は絶対悪、瑕疵があっても資本主義が絶対に良い、という価値観は、資本主義の頂点にいる人たちの都合の良いナラティブなのでは、と感じる。 フロンティアも無くなり、あからさまな植民地も無く、行き詰まりを見せる今の資本主義体制の各国で、次の魔女狩りのターゲットにしているのが移民、外国人なのではないか。労働者の批判の対象を本筋から逸らすための装置が発動しているのでは。 出生率が下がっていることから、アメリカでは女性の生殖管理の権利を弱めようという動きがあり、日本でも高校を卒業したら3人産むべしという極端なことをいう政党が出てきた。 一方で、AIにより労働者の必要絶対数は減るのかもしれない。または、大多数が農業や肉体労働にしか賃金を稼ぐ道筋が残らない社会になっていく、多数が安く使い捨てられていく。 社会の不安定さが増す要因が出揃った感がある現代。 今の凶暴な資本主義を変えていく議論と試みが必要。 外国人、移民はだめ、などと同じ労働者である一般庶民で揉めてる場合じゃないのでは… 内容は面白かったが、翻訳本で、英語の挿入句をおそらくそのままの位置で挿入句として訳すので、主語と述語がものすごく離れて読みづらさがあった。 そのため、星一つ減。

Posted by ブクログ

2024/02/23

チョン・アウンさんの『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』で紹介されていた15冊のうちの1冊。図書館で借りることができたので読んでみたら、圧倒的な論考だった。 本書はまず、資本主義は封建制の進化なのかという問いかけから始まる。そして、ヨーロッパ中世まで歴史を遡り、「資...

チョン・アウンさんの『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』で紹介されていた15冊のうちの1冊。図書館で借りることができたので読んでみたら、圧倒的な論考だった。 本書はまず、資本主義は封建制の進化なのかという問いかけから始まる。そして、ヨーロッパ中世まで歴史を遡り、「資本主義への移行」などというものはフィクションに過ぎず、その過程が国家による暴力に彩られていたことを明らかにする。さらに、女性が市場の労働力から排除され、家庭で行う彼女たちの労働を「女の労働」として経済的重要性が隠蔽されてきたことを指摘する。 ここまでが本書の序盤。ここから怒涛の流れになる。 16~17世紀に人口減少に直面した国家は、性行動への介入を開始し、女性は身体的にも監視されるようになる。これは現在にもつながる女性の身体への強制力である。避妊や堕胎は悪魔的な行為とされ、女性の民間治療者は迫害され、産科が国家管理のもとに置かれる。著者のフェデリーチは言う。「魔女狩り」は女性を格下げし、悪魔化することで、その社会的な力を破滅させるために企図されたものなのだと。 フェミニスト必読の書ともされる本書。読み通せるかなと正直不安だったが、翻訳の妙か、決して難解に過ぎることはなかった。とにもかくにも、とても勉強になった。

Posted by ブクログ