商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 翰林書房 |
| 発売年月日 | 2016/09/01 |
| JAN | 9784877374044 |
- 書籍
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文学で考える〈仕事〉の百年
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文学で考える〈仕事〉の百年
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冒頭の「私たち個人が社会の中の何者かであるということは、どの『仕事』に就くかということとしばしば深く結びつけて考えられてきました。(中略)この本は、文学の言葉に描かれた『仕事』の諸相を考察することを通じて、人のあり方を読み、社会の仕組みを読み、そして各々の時代における価値の体系を...
冒頭の「私たち個人が社会の中の何者かであるということは、どの『仕事』に就くかということとしばしば深く結びつけて考えられてきました。(中略)この本は、文学の言葉に描かれた『仕事』の諸相を考察することを通じて、人のあり方を読み、社会の仕組みを読み、そして各々の時代における価値の体系を読んでみようという意図のもとに編集されています」というのが今の私にドンピシャ。 4月からずっと仕事が面白くない、やりがいを感じられないと思っている。仕事が好きでこれまでずっと充実してたのはいいことだけど、仕事をもう少し相対化したい、仕事は自分ではどうにもならない部分が大きいからこそ人生における仕事の比重を再考すべきなんじゃないか、などと考えている時にちょうどヒントになりそうと思って読んだ。奇しくも仕事について悩み続けたこの1年の最後の1冊になった。 様々な時代と種類の「仕事」(あるいは仕事からの阻害、逸脱)がテーマの小説が並んでいて、思った以上に色々考えさせられた。 各小説には解説と考察のための「視点」もついていて、頭を動かして考える大変よい訓練になった。大学時代の文学の授業を思い出した。仕事における頭の使い方ってとても一方向だから、このような機会はとてもありがたい。 印象に残ったのは ・『塵埃』(新聞社の話)→視点3「働くことが自己実現の手段だとしたら、『碌々として老いる』生き方は人生の失敗を意味してしまうのか」という問いにうまく答えられない。もっと深く考えたい。 ・『小さな王国』(「沼倉王国」の一員になった教師の話)→この本にあるのが少し不思議な小説。「20年近い教師生活の中で培われた、職業と固く結びついた自己意識の崩壊が描かれている」という点、もう少し深く読み解きたい。 ・『奔流』(帝国日本の時代の台湾人の話)→職業に民族のアイデンティティが絡むと話はもっとややこしく、切実になる。医者は台湾人でもそんなに日本人に舐められない、台湾人国語教師は、立派に日本の国語を教えられるんだと示さなくてはならなくて徹底的に日本化しないといけない、という登場人物らをみて、少なくともこの民族という項目について考えなくてもいいだけ自分の悩みはぬるいのではと思ったりした。 ・『プールサイド小景』(夫が横領でクビになったサラリーマン家庭を妻の視点から描く話)→戦後の作品。ここまで時代が下ってやっといわゆるサラリーマンの苦悩的なものが題材になる。巨視的にみるとこれは今どきなテーマなのだなと改めて。サラリーマンの仕事と家族が遠いところにあるという指摘も興味深かった。 ほかにも『セメント樽の中の手紙』(さらっとしているのに凄いプロレタリア文学)、『遥拝隊長』(脳の後遺症で戦争がいつまでも終わらない兵士の話)など興味深い。村上春樹『午後の最後の芝生』は実は仕事の美学を描いてるのかなと、得心した。
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