深海生物テヅルモヅルの謎を追え！ 系統分類から進化を探る フィールドの生物学20

岡西政典(著者)

• 販売会社／発売会社: 東海大学出版部
• 発売年月日: 2016/05/01
• JAN: 9784486020967

商品レビュー

2017/01/10

文章が、どうにもすっとは入ってこないので読み進めるのが辛い時もありつつ、分類学徒の話はめっちゃ面白い。あと分子生物的にどんなことをやるのかも

2016/07/24

このシリーズはヤバい(素晴らしい)人々が集う本だ。対象物のヤバさもあるが、著者は人間世界にいるだけにわかりやすいヤバさが面白い。

テヅルモヅルとは、手蔓藻蔓と書く腕が分岐するクモヒトデ類だ。大きなものでは1メートルをゆうに超えるという。

タイトルもキてるしさ、最初からその期待して入ったよ。

だが、生物の変態度が高いのに、それにかまけてか、負けてか、著者の変態度はそこまで高くない。よく知らないから「クモヒトデが、したいです」などと三井先輩のような告白で世界に突入している。まあ十分ハードルを超えているのだけど、こっちのハードルも上がってるもんだから。スマン！

本人も、文章が得意でない、といっている。いわゆる読み物的に、文字の流れだけから気持ちよくなろうとしてもそう簡単にエクスタシーが得られる本ではない。けれど、テヅルモヅルという超ニッチと、分類学者というこれまたニッチ(と言わせてもらおう)がさらに先鋭化していくさまはなかなかだ。

こういう生き方もあるんだ(テヅルモヅルじゃないよ)…。僕が小学生頃に思い描いていたような世界だ。このシリーズは尽く小学生の夢を諦めたおっさんに厳しい。というか夢を諦めなかったおっさん(とか、夢が後付でついてきた若者)が、眩しいのだ。