商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2016/05/20 |
JAN | 9784103346524 |
- 書籍
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罪の終わり
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罪の終わり
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商品レビュー
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『ブラックライダー』に引き続き再読。途轍もない傑作。2173年の救世主伝説。自分が六・一六後の世界に生きており、ナサニエル・ヘイレンという実在の人物に関するノンフィクションの翻訳を読み、福音に自分の罪を許されているような気になった。なぜ日本人(台湾生まれの)にこのような物語が書け...
『ブラックライダー』に引き続き再読。途轍もない傑作。2173年の救世主伝説。自分が六・一六後の世界に生きており、ナサニエル・ヘイレンという実在の人物に関するノンフィクションの翻訳を読み、福音に自分の罪を許されているような気になった。なぜ日本人(台湾生まれの)にこのような物語が書けるのだろう。それ自体も奇跡であるように思える。僕はこれからもこの二書を読み返すのだろう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
アメリカが舞台のSF小説、の中でもディストピア小説に分類されるもの。ジャンルも作者も初挑戦ではあったが、予想していたより鬱々とすることもなく楽しめた。堅苦しいとまではいかないが、慣れれば咀嚼が心地よく思えてくる程度の硬さの文体。唯一無二と思わせるほどぴったりな比喩表現が印象的で、諸所に光る。 「神」が如何にして産まれるか、全編を通してその過程に重きを置かれているので、頽廃し、食人が横行するようになった絶望的な世界が舞台でも、その雰囲気に呑まれることなく、むしろ興味深く読み進めることができた。"辛い"という意味ではむしろナサニエルの少年時代の方が刺さる。自分自身を否定する"空っぽ"のナサニエルが、いかに「神」の依代として有用であり、時代が、人々が、いかに食人の神を必要としていたか。キリストの例を擬えての考察も面白い。結果的に、暗い霧の中に差し込む幽かな光よりも僅かな希望を抱き、"空っぽ"ではなくなりつつあったナサニエルがその矢先に死んだのは、彼にとっても、「神」を必要とした周りの人々にとっても、良いことだったのだろう。人々が勝手だとは思わない。食事や排泄と同じく、生きていく上で必要なことだと思うので。 惜しむらくは、原罪という観念がいまいち身に沁みて理解できないので、食人やその他の罪に対する宗教的な罪悪感が切迫してこないこと。それにしても、皆川博子さんのときも思ったけど、生まれ育ってない国の世界観をこれだけ作り込めるのは本当にすごいと思う。日本が核兵器を隠し持っていてアメリカが激怒したとか、アフリカに逃げたアメリカ人をイスラム原理主義者が殺したとか、世界観を作り込む設定が、いかにも現実に起こり得そうなのも面白かった。 気が遠くなるような長いスパンで、人間社会が頽廃したり発展したりを繰り返す、そのことこそが人間の営みである、という主張も多少あるように私には感じられた。ディストピア小説って、絶望的な状況下で人々がただ痛めつけられるだけのものだと思っていたので、考えを改めます。それにしても、カールハインツがユダの役割を担ったのはすごく切なかったなあ、、、
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『ブラックライダー』と この『罪の終わり』の2冊しか 読んでいないけれど 東山彰良氏が描かれる作品は どうも私の心に引っかかり この方の書かれる物語は 好きなんだと認識。 『ブラックライダー』の前日談としての 『罪の終わり』も宗教的な部分があるけれど これは、舞台をアメリカにし...
『ブラックライダー』と この『罪の終わり』の2冊しか 読んでいないけれど 東山彰良氏が描かれる作品は どうも私の心に引っかかり この方の書かれる物語は 好きなんだと認識。 『ブラックライダー』の前日談としての 『罪の終わり』も宗教的な部分があるけれど これは、舞台をアメリカにしているからで 日本に置き換えても語られるべきことは 同じ罪の重さであり、人間の卑しさ悲哀弱さ。 デストピア小説・ポストアポカリプスでもある 同じような背景の名作『ザ・ロード』に 匹敵すると思う。久々に泣ける作品を読んだ。
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