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複素数思考とは何か。 関係性の価値の時代へ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 経済産業調査会 |
発売年月日 | 2016/03/01 |
JAN | 9784806529705 |
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複素数思考とは何か。
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商品レビュー
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本書は、情報デザインを専門とする著者が、情報化社会について述べている梅棹理論を深堀し自身の見解をまとめた本になります。ここでの梅棹理論とは、工業を実数、情報産業を虚数的存在とし、工業と情報産業の両者が混在する世界は複素数(a+bi)的な様相を呈するだろう、と述べたものになります。...
本書は、情報デザインを専門とする著者が、情報化社会について述べている梅棹理論を深堀し自身の見解をまとめた本になります。ここでの梅棹理論とは、工業を実数、情報産業を虚数的存在とし、工業と情報産業の両者が混在する世界は複素数(a+bi)的な様相を呈するだろう、と述べたものになります。 そのうえで著者は量子物理学の世界が複素数で記載されること(例:シュレーディンガー方程式)を例示しつつ、ニュートン物理学では説明できない情報の価値は複素数平面で表現する方が適している、といった論を展開します。そしてそれを(量ではなく)「関係性の価値」と述べています。これは色々と考えさせられる重要なキーワードでした。 おそらく関係性の価値と言った場合、人と人、石と石(石庭)のような同質間の関係性だけでなく、人と自然、人と機械(AI)、人と町など異質な存在感の関係性についての価値も含んでいるという解釈ができると思います。それこそ、御影石など特定の「石」に大きな価値を見出す人と、同じ石を見ても無価値だと思う人がいるように。そうなると、複素数による関係性の価値とは、マルクス・ガブリエルのいう「意味の場」という概念に近い気もしました。同じ事象を複数人で見ているとしても、実は各人それぞれの「意味の場」が生じている。つまり唯一無二の実在があるわけでなく、複数の実在があるわけです。 デジタル化の進展はその未来を想起させます。たとえばAR(拡張現実)が一般的になる世の中では、人々がスマートグラスを着用して、同じ町を歩いているが、グラスに表示される情報は人によって異なるでしょう。つまり同じ街並みを見ていても、各人にとって価値があるように町が意味づけされるわけです。たとえばグルメな人のスマートグラスには、町のグルメ情報がARグラスで表示される。そしてあるレストランに入り食事をすることで、実際に支払ったお金(これは横軸のa)に加えて、満足度のようなbi的な価値が生じるというわけです。そして、食事にあまり関心がなく、ファッションに興味がある人にとっては、全く違う「意味の場」が生じるでしょう。 複素数平面の縦軸は、虚数ではなく、実数と虚数が掛け合わさったbiというのもなかなか意味深だと感じます。つまり虚数は単体では存在しない、あくまで実数的な存在とかけあわさることでしか生じない、ということを示唆しているからです。その意味では、メタバースが、仮想空間だけで閉じて価値創出をしようとするとおそらくうまくいかないのではないか、そうではなく、実空間のなにかと掛け合わさることが必須であることを暗示していると思いました。本書は色々と考えさせてくれる良書でした。書かれていることが正しいかは別として自身の思考を刺激してくれました。
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