1,800円以上の注文で送料無料

マチネの終わりに
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1221-04-06

マチネの終わりに

平野啓一郎(著者)

追加する に追加する

マチネの終わりに

1,870

獲得ポイント17P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 毎日新聞出版
発売年月日 2016/04/09
JAN 9784620108193

マチネの終わりに

¥1,870

商品レビュー

3.9

555件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/02/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

愛ってすごく複雑で難しい。 相手を想って諦念に達するのも愛だし、三谷のように結果的に騙してしまったけど、根源は蒔野に対する献身的に尽くす揺るぎない愛。 誤解を解く術はいくらでもあったけど、 お互いを深く愛するが故に相手のことを慮り過ぎた結果なのかもしれない。 どちらかが、自分の感情に忠実だったり、一種の鈍感さを兼ね備えたタイプの人間ならこうはならなかったんだろうなぁ。 作中に何度か出てきた蒔野の言葉が印象的。 “人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。 だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去はそれくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?” 洋子と父との蟠りを越えて過去を変えることができたように、最後マチネの終わりにセントラルパークで会えた時に蒔野と洋子の過去も変えることができたんだと思う。 何年経っても潰えない大人の愛の世界観に没入できた素敵な物語だった。

Posted by ブクログ

2025/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

切なすぎる恋愛物語、なんてチープな評で括りたくない。互いの感性に惹かれ、共感し、支えられた二人の逢瀬はたった3日。けれど、重ねた言葉たちがある。ブログの記事は無意識に交わされた言葉で。すれ違いもあったが、そんな風に届く想いもあった。恋愛の末、結婚して結ばれるだけがハッピーエンドでもないと思う。そういう形をしていないからこそ、この物語は美しい。恋愛なのか、友情なのか、頭で考えてもわからない。最終章のバッハの音楽のように、わからなくて、切なすぎる恋愛をこえた先にあるもの、そんな気がする。「過去は変えられる」とても印象的な言葉だった。 ところで、この物語を記したのは一体誰だったのだろう?

Posted by ブクログ

2025/02/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 38歳の天才クラシックギタリスト・蒔野聡史は、自身のコンサート中、招待者席に座る一人の見知らぬ女性から目が離せなくなっていた。終演後の挨拶で初めて言葉を交わす、蒔野より2歳上の国際ジャーナリスト・小峰洋子。二人がその後5年半という長い期間の間に直接会ったのは、この時を含めて3回だけ。しかし二人は、これまでにないほど互いに恋し、誰よりも深く愛し合っていた…。  40歳という独特の繊細な不安に襲われる年齢の、成熟しているのに瑞々しく、狂おしいほどに歯痒い大人の恋愛小説。  理智的かつ情熱的な大人の恋愛。この小説の良さは30歳を超えないとわからない気がする。少なくとも高校時代の私では登場人物たちの心情を理解することはできないだろうなぁ  この小説の一つのテーマとして、「40歳」という微妙な年齢の心理がある。実際に、著者である平野氏も執筆時は40歳であった。私自身が現在38歳ということもあり、40歳を手前にした人生における独特で繊細な不安というものがよくわかる。仕事で特に大きな問題はなく、評価もされている。将来的な安定もある。しかし、人生80年の折り返しが見えてくると、「残りの人生をこのまま過ごしていっていいのか?本当に心からやりたいことをやれていないのではないか?現在の延長線上に死を迎えた時、本当に悔いは残らないのか?」などと考えてしまい、一時的に仕事への情熱が冷めてしまう。本書ではそれに近い心理状態を<ヴェニスに死す>症候群と呼ぶ。「中高年になって突然、現実社会への適応に嫌気が差して、本来の自分へと立ち返るべく、破滅的な行動に出ること」だそうだ。よくわかる、とても。自分たちの恋愛は運命なのか、それとも<ヴェニスに死す>症候群による破滅的な衝動に過ぎないのか。情熱に身を焦がすには理性が働きすぎる大人の心理がとてもリアルに詳細に描かれている。  運命に翻弄され別々の家庭を築く二人だが、そこにパートナーへの「愛」はあっても「恋」はない。愛は相手を大切に思う心であり、それはほぼ「情」と同義のものだ。しかし恋は「あの人に値する存在でありたい」という想いだ。二人は離れていても、常にその想いを忘れることができなかった。  タイトルの「マチネ」とは、オペラや演劇における「昼の公演」という意味だそうだ。対して夜の公演は「ソワレ」という。二人がラストに再会するシーンは、マチネの終わり、つまり日中だ。運命の悪戯によって共に人生を歩めなかった二人。真実を知った時には、互いに過去をやり直すことができないほど現実的なしがらみが増えていた。彼らが再会したのは未来や現在を変えるためではなく、過去を変えるため。そんな二人のラストシーンは、ロマンチックな夜の街ではなく、現実的な昼の公園、マチネの終わりが相応しいのだろう。

Posted by ブクログ