ルート3(3) GUM C Plus

みなぎ得一(著者)

• 販売会社／発売会社: ワニブックス
• 発売年月日: 2016/03/25
• JAN: 9784847039751

商品レビュー

2016/04/09

漫画読みは、嬉しさが自分の許容量を超えた時でも、本屋で膝から落ちる
もう、半ば諦めていただけに、この最新刊を目の当たりにした際は歓喜が極まりすぎて、ブッとリアルに鼻から血が出てしまった。近くにいた店員さん、鼻紙をくれてありがとう
漫画読みとしての誇りもあるので、あえて包み隠さず、正直なトコを書くのだが、未だにあった『忍のＢＡＮ』と『アンペア』の最終回に対するショックは、この『ルート３』を読んだら、欠片も残さずに吹っ飛んでしまった
漫画の力って、ホントに偉大だな、そう、しみじみと感じられる
この『ルート３』の面白さを支えているのは、やはり、テーマが進化していく都市伝説ってトコだろう。現代人だって、一度くらいは赤マントやムラサキカガミ等の名を耳にし、その噂を他者へ運んだことがあるはずだ
確固たる形を持たないからこそ、人から人へ伝えられていき、時も流れていく中で、姿を変えていく都市伝説の中に生きる怪異ら
そんな、日常を脅かす、都市伝説に、個性豊かな美少女らが挑み、協力して解決かつ退治に導くのだから、これで面白くない訳がない
先生自身が、しっかりと取材をしているだけでなく、多くの資料の中から得たピースを組み合わせて、自分だけの説を作っていなければ、ここまでの説得力も生まれない
みなぎ先生のくどい絵、台詞の多さ、キャラの歪曲した個性が苦手だって意見も、よく聞く
こればっかりは、相性と慣れがあるから仕方ないとは思うが、個人的には信者になるまで、強制的に読ませ続けたい気分ではある
しっかし、田村・福太郎がホント、大変な事になってるな・・・・・・
とことん、怪異の起こす事件に巻き込まれやすい。しかし、これもまた、人生の味を深める縁、起こるべくして起こっているんだろう
また、意図を以て都市伝説を育て、事件を起こさせている黒幕の存在も、まだ明瞭には見えてこず、この登場人物だけでなく、読み手を翻弄させるストーリーの組み立て方は、さすが、みなぎ先生
どの話も深く潜れ、堪能できるものばかりだが、個人的に一推しなのは、第十五話「セカンドハンド・ブックス」→ だ。今更、変態と思われる事なんぞ屁でもない、と思っちゃいたが、さすがの私も、この話を気に入った理由はここじゃ書けない。是非、実際に読んで察してもらうしかない。まぁ、あえて尤もらしい理由を作るなら、舞台が古書店って事、保由の怒りに理解を示せるから、である
この台詞を引用に選んだのは、確かに、と思ったので。世にゃ、様々な悪人はいれど、自分の不幸に、無関係の他人を、面白半分で巻き込む輩ほど最悪な者もいまい