商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2015/12/01 |
JAN | 9784101192277 |
- 書籍
- 文庫
脊梁山脈
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脊梁山脈
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商品レビュー
3.8
12件のお客様レビュー
終戦を運良く五体満足で迎え、帰国した矢田部は故郷へ帰る汽車の中で、見ず知らずの男より親切を受け、そのわずか1日の交際を忘れられない。運良く食うに困らない遺産を相続した矢田部はその男が「木地師」という特殊な職業であり、その系譜の研究に没頭する。 孤独に歴史を追う矢田部の前に現れる...
終戦を運良く五体満足で迎え、帰国した矢田部は故郷へ帰る汽車の中で、見ず知らずの男より親切を受け、そのわずか1日の交際を忘れられない。運良く食うに困らない遺産を相続した矢田部はその男が「木地師」という特殊な職業であり、その系譜の研究に没頭する。 孤独に歴史を追う矢田部の前に現れるのはタイプが違う2人の女性。三角関係でもつれる展開になりそうだが、ストーリーは日本古代史の天皇制を論じる意外な方向へ。実は、本作品は作者の歴史研究が披露される社会派小説だったのか。と、思わせたが、主人公は一人の人間として、孤独な研究より家族や恋愛を選ぶ。 戦争にはじまり、山脈のような山あり谷ありの男の人生。立ち位置がフラフラしているが、なぜか誠実さを感じて憎めない。
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乙川さんのはじめての現代小説。それにしても、本当にその場にいるかのような臨場感。戦争の話もかつてないくらいに、その悲惨さが伝わってくる。そしてそこから15年、主人公が25歳で復員し、38になるまでに、大化の改新頃の日本の歴史にも触れて、そして二人の好い女性と佳い女性との間で織り成...
乙川さんのはじめての現代小説。それにしても、本当にその場にいるかのような臨場感。戦争の話もかつてないくらいに、その悲惨さが伝わってくる。そしてそこから15年、主人公が25歳で復員し、38になるまでに、大化の改新頃の日本の歴史にも触れて、そして二人の好い女性と佳い女性との間で織り成される叙情。 この著者の本をはじめて読んだ時に目にした「ひともしごろ」、この言葉、別にこの著者のオリジナルではないのだが、そのときは衝撃的な経験だったけど、この本にも数回出てきて、そっか、この言葉は時代小説書いてる時に使っていたんだろうなと、腑に落ちた。多岐子とやっと所帯をもって行こうとしてる矢先に死にそうになってしまい、果たして、信幸は思いを完うできるのか。そして弟の信は本当にフィリピンで生きていたのだろうか、佳江果たしてこのままフランスからヨーロッパで人生を終えてしまうのか。そういうことは全部未解決?いやある意味解決をしながら、ページをもうめくれないところまで、読み終えた 途中、読み終われないかもと思う箇所もあったが、結局、読み通した。 全体的には、至福の時間だった。
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大作だった。上海からの引き揚げの列車で一緒になった人物を探す旅路の途中で、木地師の足跡を巡る目標を見つけ、二人の女を愛する主人公。 木地師から派生して独自の日本古代観が披露される。 これがビックリな推論で一冊で2度美味しい楽しみをくれた。 男は生活を忘れ目標を追うが、達成すると虚...
大作だった。上海からの引き揚げの列車で一緒になった人物を探す旅路の途中で、木地師の足跡を巡る目標を見つけ、二人の女を愛する主人公。 木地師から派生して独自の日本古代観が披露される。 これがビックリな推論で一冊で2度美味しい楽しみをくれた。 男は生活を忘れ目標を追うが、達成すると虚無感に襲われる。対して女は生活に追われても強く自分を見失うことがない。 そして最後に尋ね人に会う主人公。流行りを追うのも良いが自然に根ざした日本人らしい姿に憧れる。 解説に三浦しをんが登場するが、彼女の祖父母が住む山奥が木地師が開いた村らしく、彼女が「神去なあなあ日常」を何故描きえたかを知ることができたオマケまであった。
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