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君が戦争を欲しないならば 岩波ブックレット942
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2015/12/07 |
JAN | 9784002709420 |
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君が戦争を欲しないならば
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商品レビュー
4.6
22件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2015年6月29日、岡山市戦没者追悼式・平和講演会での講演記録を収録したもの。60ページほどの本で、すぐ読み終わります。 9歳のとき岡山で焼夷弾による空襲を経験した高畑勲にのる、平和への提言。大変真面目で、まっすぐでわかりやすい言葉でした。重みがあります。 高畑勲は、いままで戦争の体験を語ってこなかったという。その理由は簡単で、悲惨な戦争を語り継いだところで、 ①「あんな悲惨な戦争を繰り返さないために、武器を捨て平和憲法を守ろう」 ②「あんな悲惨な戦争を繰り返さないために、武器を持ち戦える準備をしよう」 これら両方の意見が出てくるからだと。とくに為政者は②を支持するだろうと。なるほど確かにその通りだ。 そして、日本の「責任を取らないずるずる気質」、「空気を読む」国民性が、70年前からいままで何も変わっていないという。どれだけ戦争に反対している人でも、いざ始まってしまえば、「始まったからには勝つしかない」と反転してしまう。偉大な詩人や芸術家も同じ、市民も同じだった。そして自分もきっと同じ。それが一番怖いという。 読みながら、まったくその通りだと思った。平和憲法を守り抜くしかないという結論は、現代においてはあまり響かない主張かもしれませんが、しかし、それしかないと私も思います。 緊張が高まっているから軍拡して備えなければいけない、というのが最近の流行りですが、その道はどれだけ不安定だろうと思う。 戦闘機やミサイルをたくさん持って多少強くなったとして、中国やアメリカの軍事力に対抗できるのか。それこそ桁が違う戦闘力の国に対して、同じように武器を持って準備して、誰も殺さず殺されない道をずっと歩めるか。できそうにない。ちょっとバランスを崩しただけで、戦争に転がり込むだろう。 では仮に世界一の軍隊を手に入れたところで、果たしてそれはいつまで続くか。栄枯盛衰は歴史を見れば明らかで、そんな不安定な道のりに進んでは行けない。その不安定さが明らかに想像できるから、私は軍拡には賛成できない。 唯一の被爆国である日本だからこそできる、平和への歩みがあると思う。平和憲法などお花畑だという人は多いが、お花畑を目指さずして、平和な世界を作れるというのか。 笑顔で握手をしながら裏では銃を突きつけあうのが大人の世界の平和だ、という言説を何度か見かけたことがある。互いに武力を持ち緊張状態を保つことが平和だと。そんなわけあるかと思う。そういうことをずっとやってきて、失敗し続けているのが人間ではないか。武力による緊張状態を保ち続ける、という思想こそが、お花畑ではないか。 武器のない世界をどうやって作れるか、戦争をけしかけた方が損をする仕組みはどうやって成立できるか。それを考え続け、世界にも発信し続ける。それしか本当の平和への道はないのではないか、と私は思います。 半分以上、自分の思いを書いてしまった。しかし、そういう思いを抱かせる本でありました。
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「ここで負けるわけにはいきません!」絶叫は、オリンピックの試合でも戦争中でも日本にこだまする。と高畑さんは言う。63ページと短いので「君が戦争を欲しないならば」読んで欲しい一冊。ずるずると押し流され、空気をすぐ読もうとする同調気質には疑問を抱いていきたい。
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63ページしかない短い本だったけど、すごく整理されており、読みやすくわかりやすい。 岡山は隣の県で駅周辺はよく見知った場所だったので、高畑勲の空襲で辿った経路をなんとなく想像できた。 整備された美しい小川だと思っていた西川緑道が、防火帯のための強制疎開で開かれた道なのは初めて知...
63ページしかない短い本だったけど、すごく整理されており、読みやすくわかりやすい。 岡山は隣の県で駅周辺はよく見知った場所だったので、高畑勲の空襲で辿った経路をなんとなく想像できた。 整備された美しい小川だと思っていた西川緑道が、防火帯のための強制疎開で開かれた道なのは初めて知った。 街には歴史があり、私たちは歴史の上に生きていると思った、歴史を生かさなければと思う。 この本で高畑勲は、悲惨な戦争の体験を語っても戦争を防止することはできない、そうなる前のこと、どうして戦争が始まったか、為政者、国民がどう振る舞ったかを学び、ではどうしたら防げたのかを考えることが戦争防止になると主張する。 最後にまとめられているが、私たち日本人の同調し責任追求ができず、押し流され空気を読む気質のせいで、本当の民主主義はまだ身に付けられていないと非難している。異を唱えるものは排除される村社会であり、多数派に流され、上部の議論で全てが進んでいく。(最近の国会の様子を見ていても野党が弱く、閣議決定されたものでほとんどの法案が決められてしまっているのも危機感を感じる) この体質を変えるのは簡単ではないし時間のかかること、これを変える努力をするのはもちろん、こう言った日本人の性質から戦争への道を閉ざす最後の砦はやはり憲法9条なのだと。 安倍政権時から改憲を目指す動きが徐々に顕になってきているが、本当に恐ろしいことだと思う。 憲法9条に守られてきたことを誇りに思い、アメリカに頼らず、沖縄に依存しない外交は何かよく考えるべきだと思う。 私は日本の文化的財産を世界に発信すること、強い経済で世界に通用するインフレ基盤を持つこと、輸出産業を守ることが、防衛以外の安全保障として役割をもつ大事な抑止力になると思う。 経済を推進するにも、少子化に歯止めをかけるのも、人権が守られ戦争をしない国にするためにも今の政治(とも呼べない茶番劇)を今すぐ変える必要があると思う。 裏金問題が露呈しても、責任を取らず居座り続ける議員にはすぐに全員辞めてもらわなければ、と強く思う。 高畑勲みたいな頭が良く心がある人を亡くしてしまったのは本当に惜しく思うし、この本で言う「頭で食う」人間が多くなっていて危機感を感じる。東大をはじめとする有名大学出身のエリート層はもうどうしたら稼げるかしか考えておらず、社会の見えない弱者には関心もなく自己責任と自助で糾弾し、社会全体の利益を考えてるような志はないような人が多く見られる。そしてこの国の全体もそんな感じでみんな自己中心的で物事を考えている。 どうやったら同調することに寄らない民主主義、功利主義をみんなが身につけられるようになれるのだろう。 自分で考えて意見できるようになりたいから、私ももっと勉強しなきゃいけないと反省する。
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