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異世界の書 幻想領国地誌集成
10,450円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東洋書林 |
発売年月日 | 2015/11/01 |
JAN | 9784887218215 |
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異世界の書 幻想領国地誌集成
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
ただの想像ではなく、現実世界に影響を与えた異世界の事物を集めた書。大きな図版がふんだんに入っていて、分厚い紙を使ってるから、めちゃくちゃ本が重い。 「平板な大地と対蹠地」、「東方の驚異」など、全15章のテーマからなるが、興味深かったのが極北神話を取り上げた第7章の「ウルティマ・ト...
ただの想像ではなく、現実世界に影響を与えた異世界の事物を集めた書。大きな図版がふんだんに入っていて、分厚い紙を使ってるから、めちゃくちゃ本が重い。 「平板な大地と対蹠地」、「東方の驚異」など、全15章のテーマからなるが、興味深かったのが極北神話を取り上げた第7章の「ウルティマ・トゥーレとヒュペルボレイオイ」と、第14章「レンヌ・ル・シャトーの捏造」。これを読むと、ダヴィンチコードを楽しんで読めなくなる。
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『あるいは、当時の教養人が好んだ修辞の習作だったのかもしれない。それならば、内容の真実性について書き手が頓着していないのも頷ける。だが問題はその起源よりも、この手紙がいかに受容されていったかである』―『東方の驚異―アレクサンドロスから司祭ヨハネまで』 ウンベルト・エーコが語る嘘...
『あるいは、当時の教養人が好んだ修辞の習作だったのかもしれない。それならば、内容の真実性について書き手が頓着していないのも頷ける。だが問題はその起源よりも、この手紙がいかに受容されていったかである』―『東方の驚異―アレクサンドロスから司祭ヨハネまで』 ウンベルト・エーコが語る嘘は、指輪物語や白雪姫の話のように明らかな空想の世界を語る嘘ではないのでうっかりすると歴史上本当にあったことのなのかと信じてしまいそうになる。しかし、例えばダ・ヴィンチ・コードのように本当の事だと言い張るような事をエーコはしない。その代わり、ガリバー旅行記のように、これはある手記に基づく話であるという体裁を取り、良識的な読者に嘘と真の境が如何にあやふやなものであるかを語ってみせる。そうすることによって人が如何に騙され易く、信じたいことを無理矢理にでも信じてしまうかを教える。この本は、その教えをより直接的にしかも元となった歴史的資料もふんだんに採取して見せてくれる。 『ひと口に伝説と言っても必ずしも遠い過去に遡るわけではなく、騙されてくれる買い手がいる限り日々新たに生み出されるものであることが明らかにされるはずだ』―『聖杯の彷徨』 人はただ単に騙され易いのではない。積極的に在りもしない真実を受け容れようとするのだ。そしてそれを大概自らに都合の良いイデオロギーを補強する材料として用い権威付けをしようとする。それはナチスの極北主義に端を発する選民思想に限らず、洋の東西を問わず為されて来たこと。例えば徳川家康が時に藤原姓を名乗り、時に源姓を名乗り、その都度家系図を創作したのと同じこと。何処ぞの御仁が長州藩の出であることをいつまでも言いつのるのも同じ心情が根っ子にあるのかも知れない。 あとがきにとあるように本書の中で解説される歴史上の誤謬や史料の贋作は、これまでのエーコの小説の主題として取り上げられたものも多く、それを思い出しながら頷いたりすることもまた楽しい。特に最近読んだ「プラハの夜」は本書の主題と重なるところも多く、また小説を読んでいる時にはしかと実感出来なかった背景なども理解できてエーコの描く虚構の面白さを改めて感じることが出来る。惜しむらくは本書が存在しない「場所」に敢えて主題を絞っているところ。もし彼が次の一冊を記すことが出来ていたのなら是非「薔薇の名前」で取り上げたような実在が明らかでない「テキスト」についての本の書いて欲しかったなと思ってしまう。アリストテレスの笑いについてのテキストや、シオン議定書など、エーコ自身が小説の主題として取り上げたテキストについて本書のような小気味よい文章を是非とも読んでみたかったなと思う。残されたヌメロ・ゼロをじっくりと味わおう。
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図書館で借りて読む。というより、本屋で購入するには高価すぎる。図書館がなければ読むことも出来ない貴重本である。内容はともかくとして、挿絵は素晴らしい。眺めているだけで堪能する。
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