商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2015/11/01 |
JAN | 9784101171531 |
- 書籍
- 文庫
聖痕
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商品レビュー
4.1
14件のお客様レビュー
筒井康隆さんの作品は短編集しか読んだことがなく、初めて長編作品を読みました。 ページにびっしりと書き込まれた難解な日本語たち。でも読んでいて全く苦ではない。(注釈の量すごいのにね) 京極夏彦作品で何度も挫折している私でも、最後まで夢中で読み切りました。 2月に村山由佳の二人キリを...
筒井康隆さんの作品は短編集しか読んだことがなく、初めて長編作品を読みました。 ページにびっしりと書き込まれた難解な日本語たち。でも読んでいて全く苦ではない。(注釈の量すごいのにね) 京極夏彦作品で何度も挫折している私でも、最後まで夢中で読み切りました。 2月に村山由佳の二人キリを読んで、3月にこの本を読んで…意図したつもりはなかったけど、今年はチン切りに縁があるのかな? チン切りからはじまる物語とチン切りに終わる物語、どちらも人の性欲を描いた作品だけど、見方が全然違ってとてもおもしろかった。
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素晴らしい読書体験だった。 幼少期に生殖機能を暴漢に奪われ、煩悩を知らずに育つ貴夫と周囲を描いた、一族の栄枯盛衰ストーリー。 古風な語彙が非常に多く、最初は戸惑うが、段々とその文章に引き込まれてこうあるべきだと錯覚させられる。日本語の奥ゆかしさと、貴夫の聖人伝が融合して、難解だが居心地の良さを与えてくれる。 終盤の仇敵を赦す場面などは、キリストそのものではないか。神々しい貴夫の姿が私に想起させられた。貴夫が作中で教祖と揶揄される、そして現実となるのは無理のないこと。 貴夫一族がどのような未来を辿るのか、私の妄想は膨らむばかりである。
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聞き慣れない難読な単語が多く、注釈でそれぞれの意味が記されているがそれでは足りない程難しく書かれている。一つ一つ意味を確かめながら読む時もあれば、なんだかスルスルとその漢字が持つ空気感だけで意味を感じ取り読み進める時もあった。ラストに印象的に示されたスケープゴートがこの作品の主題であって、それを表す事に、ここまで詳細に1人の人生、貴夫の人生を書き連ねて行く事を果たして筒井さんの他誰ができるのでしょうか。性の根源を切り取られた男性、貴夫がどのような生涯を送るのか、読者として簡単に想像を細かに組み立てられる人は殆ど居ないと思います。ああ、そりゃこうなるよね、当たり前だよね、と読み進められるはずはなく、一つ一つの言動を噛み締め咀嚼しながら丁寧に読み進めたくなるまさしく絶品料理のようでもあります。つぶグミのような一辺倒なドラマティックではなく、落合陽一が言うような複雑性を伴う天然の事柄を、その材料の保管から調理法まで寸分の狂いまた手抜きなく作り上げた料理をひと口ひと口味わい進めて行くような感覚。後味は苦く爽快でした。素晴らしい!
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