修験道史入門

時枝務(編者), 長谷川賢二(編者), 林淳(編者)

• 販売会社／発売会社: 岩田書院
• 発売年月日: 2015/09/01
• JAN: 9784872949308

商品レビュー

2025/04/27

修験道史研究の扉を開くための手引き
役行者が作った「日本仏教の払船礎」
聖徳太子を取り込み日本仏教としての市民権獲得
国民思想（神道・仏教・儒教）の融合体としての修験道
日本の国民性に応じた「国民種族的の宗教」
加持祈祷による「万民救済の宗教（ユニバーサル・レリジョン）」
輸入仏教ではない「民族的な宗教」、新仏教の先駆
和歌森太郎による修験道史の三段階設定
黒田俊雄：顕密仏教の範疇で捉える修験道
大自然を師とし、自然との共生を説く現代的意義
「修験道」概念の成立（14世紀）≠修験道の成立
神仏分離令・修験道廃止令による明治期の衰退
醍醐寺「一世行者」問題と俗世先達への非難
文字史料と非文字史料（考古遺物含む）を組み合わせた研究
役小角：開祖伝説と実像の乖離
五来重：日本固有の山岳信仰からの成立、最古層の宗教
宮家準：中世に焦点、教義・儀礼・組織のモデル化研究
当山派（醍醐寺）：下級僧侶が担い、先達衆が運営
本山派（聖護院）との対立と幕府による分離公認
宗旨に拘泥しない在地的な当山派修験者集団
醍醐寺：山伏を取り込み寺の存在意義を強化
羽黒山：本山派の主要霊山、幕府方針に反し独立図る
羽黒山修験本宗として戦後復興
彦山：本山・当山に属さず別山となった神仏習合の「山寺」
「修験の山」としての彦山と「彦山流」の形成
大友宗麟による彦山焼き討ち
里修験：山で験力、里で祈祷・呪術を行う民間宗教者
山岳修行者から村の祈祷師への定住化
本山・当山派への所属：幕府による宗教者管理政策
神職・陰陽師との競合：曖昧な諸宗教者の職能
「修験者」は自明な存在ではなかった
宗教活動以外の収入にも依存した里修験の経営
中世：下級僧侶が修験道の主要な担い手
近世：「山伏」としての職能固定化
近世陰陽道研究から見る雑多な宗教者の後身
山伏修行とは異なると主張した畿内の行者衆
五来重『山の宗教 修験道』：仏教民俗学の創始
宮家準『修験道組織の研究』など三部作
時枝務『修験道の考古学的研究』：「修験道考古学」の胎動
関口真規子『修験道教団成立史』：当山派成立過程の研究