商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2015/10/31 |
JAN | 9784492314593 |
- 書籍
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ハウス・オブ・デット
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バブル崩壊後の深刻な不況の前には、必ず家計債務の上昇がある。2008年の世界金融危機前夜には、2000年から2007年にかけてアメリカの家計債務所得比率は1.4から2.1に跳ね上がり、債務総額は14兆ドルに倍増していた。不況というものは、必ず家計債務の大幅な増加の後に起きる。 ...
バブル崩壊後の深刻な不況の前には、必ず家計債務の上昇がある。2008年の世界金融危機前夜には、2000年から2007年にかけてアメリカの家計債務所得比率は1.4から2.1に跳ね上がり、債務総額は14兆ドルに倍増していた。不況というものは、必ず家計債務の大幅な増加の後に起きる。 バブル崩壊による不況が訪れたときに、割を食うのはいつでも庶民である。世界金融危機時に、最貧困層の債務比率は80%と、彼らは多くの債務を抱えており持ち家を手放さざるを得なかった。一方、最富裕層の債務比率は7%であり、しかも金融資産を多く保有していたので、ほとんどダメージを受けなかった。債務に過度に依存している現状の金融システムは、バブルの発生とその崩壊を繰り返す毎に富の格差を拡大させていると言えよう。 本書では、従来のバブル発生説に代わる理論としてLL(Levered Loss :債務損失幅)理論が提唱されている。この理論によれば、バブル崩壊に伴う住宅価格の暴落は、住宅ローンを多く抱える借り手である債務者の消費支出を大幅に減少させる。債務者の消費支出の減少は、今度は貸し手である債権者にも影響を与える。その結果、債務損失が増幅されて深刻な経済収縮を引き起こす。また、債務増大による住宅の差し押さえにより最初に発生した住宅価格の負のショックは増幅され、増幅された負のショックは債務者に損失を集中させる構造があるという。 バブル崩壊時の住宅債務増加による深刻な経済収縮を回避するための解決案として、従来の住宅ローン契約の代替案として、SRM(Shared-Responsibility Mortgage: 責任共有型ローン)を本書では提示されている。SRMを導入することで、住宅価格が下がった場合には、貸し手はダウンサイド・プロダクションを借り手に提供して、住宅価格が上がった場合には、借り手は5%のキャピタル・ゲインを貸し手に提供する。これにより、住宅価格暴落による債務者の債務増大に歯止めがかかり、景気回復後に住宅価格が上がったときに、債権者はキャピタル・ゲインを受け取れるので、双方が泣き寝入りせずに済むという。 以上が、本書の概要である。「政府黒字の裏側で民間赤字の増大が同時に起こり、それがやがてバブル崩壊による信用収縮を引き起こす」というのがMMTの議論であるが、主流派でも似たようなことを主張している人たちがいるのが興味深かった。最も、MMTerたちは「そんなことはミンスキーが遥か昔か主張している。何も新しいものはない」と言いそうだが。本書では数多くのデータが引用されており論証も手堅い。第6章では、住宅供給が弾力的な土地と非弾力的な土地の住宅価格上昇の比較検討から、鮮やかにアニマル・スピリッツ説が反証されており、社会科学のお手本のような本である。トマ・ピケティの「21世紀の資本」の邦訳が出た同じ年の2015年に本書の邦訳が出た。ピケティ本の影に隠れてあまり話題にならなかったようであるが、ピケティ本と同じくらい重要な本である。必読。
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個人向け住宅、学費ローンが、貸し手保護によっていわばモラルハザードを起こして、オーバーローンを招きバブルを生み出している。金融機関保護のみ優先し、高額のボーナスを手にした金融機関の人間が、政府から金を引き出して逃げおうせたことは、全く許せない!債権者にももっとリスクを取らせる仕組...
個人向け住宅、学費ローンが、貸し手保護によっていわばモラルハザードを起こして、オーバーローンを招きバブルを生み出している。金融機関保護のみ優先し、高額のボーナスを手にした金融機関の人間が、政府から金を引き出して逃げおうせたことは、全く許せない!債権者にももっとリスクを取らせる仕組みを導入することが必要なことは明らかだ。もっとこの本を読んで、多くの人がこの事を知るべきだ!!
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※このレビューにはネタバレを含みます
近年の不況の原因は家計債務の増大にあると分析し、リスクを債権者に移転できるリスク共有型の債務構造を提案している。 提案している方式で債権者はインセンティブを感じるかしら、あるいは債務にかかるコストが安すぎるのが問題で保険的なオプションを課す方がバブルの誘発を防げるのではという気もしました。何れにしても融資合戦からバブルを誘発し、持たざるものが一番被害を被る構図を変えるべきという筆者の主張、着想には敬意を表したい。
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