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あん ポプラ文庫
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あん ポプラ文庫

ドリアン助川(著者)

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あん ポプラ文庫

660

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ポプラ社
発売年月日 2015/04/03
JAN 9784591144893

あん

¥660

商品レビュー

4.1

181件のお客様レビュー

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2024/12/31

桜の季節に読めばよかった。再読するときにはそうしたい。徳江の年代、70歳くらいになったらまた読もうかな。たぶん今とは違う感想を持つだろう。 ハンセン病について、私は名前しか知らない。患者が隔離されている施設のことは何かのニュースで聞いたことはある。法律が撤廃されるときかなにかで...

桜の季節に読めばよかった。再読するときにはそうしたい。徳江の年代、70歳くらいになったらまた読もうかな。たぶん今とは違う感想を持つだろう。 ハンセン病について、私は名前しか知らない。患者が隔離されている施設のことは何かのニュースで聞いたことはある。法律が撤廃されるときかなにかで、患者さんたちの顔がテレビに写ったとき、大変申し訳ないというか、とても言いにくいことだけど…チョウチンアンコウを連想してしまって、正直ギョッとしたことを思い出した。 映像の中でしか見たことのない方々だけど、差別が自分の中に全くないか、といえば嘘になる。握手できますか?と聞かれると、正直たじろいでしまう。 それはすべて、私が無知だからだと気づく。正しい知識を持っていることが何より大事なのだ、と。 どら焼きを焼くシーンがやたらと美味しそうで、食べたくなる。3歳の私の息子はたい焼きのあんこが大好きで、ガラス越しにたい焼きを焼くお店に行くのが大好きだ。しかしこの1週間以上、熱を出したり下がったりで、ほとんどまともに外出できていない。少しでも元気出るといいな、と思ってスーパーで冷凍食品の今川焼を買った。 その今川焼、息子は全く食べなかった。焼きたてじゃないからね…。 息子が残した今川焼をモソモソと食べながら、NHKの朝ドラで深津絵里が回転焼きの店をやる話があったな…と思い出す。たいして見てないけど、親子3代の話だったなぁ…おかあさんはすごいな…と思い出す。 生きる意味、かぁ。 最近、同級生と集まる機会があった。久しぶりに会う友人とは「最近なにしてんの?」という話になる。職業人として何にもなれず、ブルシットジョブ的な業務しかしていない私は「いや、ただの会社員だよ。子ども養うためにとりあえず給料もらってるだけ」と答える。「子ども養うだけでも十分に社会貢献だよ、生きてる価値あるよ」と友人は言う。子どものいない彼らにそう言わせてしまったことがなんだか気まずく思えて「なんかごめん」と言いそうになる。そう言われても彼らも困るだろうから、「あぁ…ありがとう」と曖昧にお礼を言った。 徳江にも、千太郎にも、子どもはいない。 私も自分の生きる価値を見出すために、子どもを産んだわけじゃない。まぁでも結果的にそうなっている部分はあるかもしれないなぁ…と思う。 命をつなぐ行為であることは間違いない。深津絵里のドラマと、この小説と、色々と私の中でシンクロした。 60代、70代で外に出ていいよ、と言われてもね…せめてあと20年早かったら、みたいな徳江のセリフにギクッとする。40代、まだまだなんかできるのか、と。私もまだまだなにかできるのか、と。 この小説は、田村文の『いつか君に出会ってほしい本: 何度でも読み返したい158冊』の中で、『この世界を生きのびろ』の章に入っていた。特に読みたいとは思わずスルーしていたけど、実家帰省時に、私の息子のためにあんこを作ってくれた私の母が「あんこを作るのがとにかく楽しくて」と言いながら、「あんこといえば、こんな映画があって、私、大好きで」と、映画化されたこの話のことを持ち出した。あれ、その話、田村文の紹介に出ていた…ということで、「読みたい」にとりあえず登録しておいた。母は小説が原作だとは知らなかったらしい。とてもいい話で、映画を3回見たと言っていた。 映画のキャスティングからストーリーから色々ネタバレのオンパレードで、「これは当面小説読んでも面白くなさそう…」と思っていたけど、年末年始の帰省が近づいてきて、またきっとこの映画の話をされるだろうな…ということでこれも親孝行かな、と思い切って読むことにした。 キャスティングを聞いてしまっているので、やっぱり俳優さんの顔がちらついてしまった…。 表紙の女の子の顔にも見覚えがあった。 全く思い出せずに、読み終わってから装画の名前を見た。 「あれ、木内達郎…?」 うちにある、福音館のこどものとも。『ひみつのえんそく きんいろのさばく』の絵の人。 普段、図書館で借りて気に入った本を買う私。この絵本はすぐ気に入って買ったんだった。 あぁ、それで…なんか見覚えが、と思ったわけだ。表紙からつながる本の世界もある。 私は結局、年末に実家に帰れなかった。 息子は復調した。が、まさかの上の子が体調を崩した。子どもたちは「ばあばのおうちに行きたかったぁーー」と大泣き。きっとばあばも会いたかっただろうよ。 徳江の姿と、母の姿が重なる。 今年最後の読了。今年最後の感想。母には会えなかったけど、だからこそこの本が今年最後でよかったと思っている。ちょっと負け惜しみだけど。

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2024/12/13

タイトルだけ知っていた本。 こんなにシンプルな内容なんだなあ。 わかりやすく、優しく。 徳江さんの住所からわかる秘密には、この本、こういうテーマだったのか、と驚いたが、いい学びになった。 この本が出た20年前にはまだまだ世間の認知度は低かったと思われる。 ブラウスを渡すシーンで電...

タイトルだけ知っていた本。 こんなにシンプルな内容なんだなあ。 わかりやすく、優しく。 徳江さんの住所からわかる秘密には、この本、こういうテーマだったのか、と驚いたが、いい学びになった。 この本が出た20年前にはまだまだ世間の認知度は低かったと思われる。 ブラウスを渡すシーンで電車で読んでいたのに涙が出て困った。 ラストには、大きな解決はなく終わるが、それが中年である千太郎のリアルでよい。 おいしいアンコが食べたくなるのは、和菓子のアンシリーズと同じ。

Posted by ブクログ

2024/10/14

樹木希林さん主演映画の原作ということで、先日読んだ『一切なりきり』にも載っていたこちらの小説を選書。 どら焼き店を営む青年のもとへ、働きたいとやってきた高齢の女性。彼女が作る餡は絶品で、一緒に働き始めたが… 無知による差別や偏見。ハンセン病について、正しい知識がないばかりに、必要...

樹木希林さん主演映画の原作ということで、先日読んだ『一切なりきり』にも載っていたこちらの小説を選書。 どら焼き店を営む青年のもとへ、働きたいとやってきた高齢の女性。彼女が作る餡は絶品で、一緒に働き始めたが… 無知による差別や偏見。ハンセン病について、正しい知識がないばかりに、必要以上に恐怖を感じてしまうのだよね。 罹患した後の壮絶な人生…家族も、持ち物も、自分の名前も、すべてを失って、それでも生きていかなくてはならなくて。しかも、それは、ごく最近まであった話だというからいたたまれない。 優しい気持ちになる物語でありながら、それだけではなく、生きることの意味についても考えさせられた。読めてよかった。

Posted by ブクログ