商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2014/12/01 |
JAN | 9784062193368 |
- 書籍
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パリ環状通り 新装版
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パリ環状通り 新装版
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商品レビュー
4
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現代フランスを代表する作家、モディアノの代表作とのことで、友人の仏文教授の薦めもあり、この作家の小説を初めて読んでみました。 占領下のパリを中古車で徘徊する父と私。父と呼ぶ人は、人生の落伍者として、ペテン師のような生業で生計を立て、空虚な日々を素性の知れない根無し草達に軽んじられながら、生きています。その人となりはつかみどころがなく、それがゆえに主人公の私は、その影を追っているように描かれています。 ”かつては逆の現象がみられた。息子が筋骨たくましいところを誇示するために、父親を殺害した。けれど今では、いったい誰になぐりかかればいいのだろう。孤児である我々は、父性のしるしを求めて幻影を追いつづけるように、運命づけられているのだ。” (P154-155抜粋) 1972年に書かれたこの作品のテーマは、混迷を一層極める2015年の今日の現代に生きる世界のすべての男子に、共通する命題のような気がしますが?
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最初はハッキリしているがそのうちだんだんボンヤリしてくる情景。逆に最初は茫洋とした感じが次第に明確に捉えられるようになる心情。常に妙な違和感がつきまとうものの、いつの間にかその雰囲気に取り込まれる。嫌いじゃないけど変な感じ。
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「事態の緊迫化した」時節、「私」は怪しげな連中に接近するために、フォンテーヌブローの森のはずれのある村にいた。静かな村に突然やってきた得体の知れない連中。恐喝まがいの新聞を発行している社主、その愛人の高級娼婦、闇取引を生業とする元傭兵の「伯爵」、そしてその片棒を担いでいるユダヤ人...
「事態の緊迫化した」時節、「私」は怪しげな連中に接近するために、フォンテーヌブローの森のはずれのある村にいた。静かな村に突然やってきた得体の知れない連中。恐喝まがいの新聞を発行している社主、その愛人の高級娼婦、闇取引を生業とする元傭兵の「伯爵」、そしてその片棒を担いでいるユダヤ人の「男爵」。流動的な時代の暗部に蠢く人間たちの中に、「私」の父、「男爵」がいるのだ・・・。 かつて父によって関係を断たれた「私」が迂遠にも辿る父への再アプローチの道程。「父」なき時代といわれる現代に、パトリック・モディアノはフランスの最も屈辱的で不安定な時代(=ナチスドイツによるフランス敗北と占領)に照射を当て、それと重ね合わせるように主人公に「父」を追い求めさせている。 どこに向かっていけばよいのかわからない不安で曖昧な日々を、詩情豊かな描写と幻想的で何か捉えどころのないストーリー展開で迫ってくる文章は、モディアノお得意の表現力といえるだろう。また、ストーリー展開において、現在と過去といった「時間」を自由に行き来する手法も、流動性を読者へ意識させるモディアノが得意とするやり方であり、まさにモディアノ・ワールドを満喫できる物語になっているといえる。 「私」の内面的な「想い」とは裏腹に、「時代」に動かされ、「時代」の暗部とともに、表面的な喧騒の度が超えていく状況は、読者の不安感を一層高めていくものであったが、この主人公のように自分も一緒に堕ち、寄り添うことで幸福感を得られるという在り様は、逃げ場のない閉塞感と硬直感漂う時代にあってのカタルシスであり、現代からは羨望の選択なのかもしれない。
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