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ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯
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ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

スザンヌ・コーキン(著者), 鍛原多惠子(訳者)

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ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

2,860

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2014/11/01
JAN 9784152095015

ぼくは物覚えが悪い

¥2,860

商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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2021/04/11

高3の時から読みたいと思っていた本。 やっと読めた。 重度のてんかんによって両側頭葉内側を摘出したことで新しい事を覚える事が出来なくなり、永遠の現在に閉じ込められた患者H.Mの生涯を主治医が書き記した学術本。 医学に携わる者なら知らない人は居ない程有名な患者だけど、どう考えたって...

高3の時から読みたいと思っていた本。 やっと読めた。 重度のてんかんによって両側頭葉内側を摘出したことで新しい事を覚える事が出来なくなり、永遠の現在に閉じ込められた患者H.Mの生涯を主治医が書き記した学術本。 医学に携わる者なら知らない人は居ない程有名な患者だけど、どう考えたってヤバそうな手術が行われた歴史背景(読んでわかったことだけど当時はこんな実験的な手術を行う神経外科という謎の科が神経科医の花形だったらしい、怖すぎる)や、H.Mではなくて一人の善良な市民ヘンリー・モレゾンとしての一面も書いてあってよかった。クレソンよりケーキが好きらしい。 新しい事を覚える事が出来ないってどういう感じなのか、本当に想像がつかない。この本を読んだし勉強もしたから彼の病態もメカニズムも分かるけど、やっぱり自分に落とし込んで考えるのは難しい。 これを読んで思うことが沢山ありすぎてうまく言葉にできないんだけど、とりあえず、読んでよかった。 現代神経学の礎となったのは"患者H.M"ではなくて、アメリカに生まれた、甘いものとパズルが大好きなヘンリー・モレゾンというごく普通の人間の人生だということを心に刻みたい。

Posted by ブクログ

2016/11/28

1950年代、てんかんの治療で脳の一部を除去された患者がそのために一生健忘症で過ごすことになり、脳の研究材料として生活することになった男性ヘンリーの話。 脳と記憶など、科学的な話などが記述。 それにしても、何度も何度も同じような記述が繰り返しでてくるので、読むのが非常に厳しい。 ...

1950年代、てんかんの治療で脳の一部を除去された患者がそのために一生健忘症で過ごすことになり、脳の研究材料として生活することになった男性ヘンリーの話。 脳と記憶など、科学的な話などが記述。 それにしても、何度も何度も同じような記述が繰り返しでてくるので、読むのが非常に厳しい。 あまり印象に残らない本である。

Posted by ブクログ

2016/03/21

てんかん治療として海馬を手術によって除去され、記憶障害となった有名な患者H.M.。著者は、彼を長年研究した医師である。本書で彼はH.M.=ヘンリー・グスラフ・モレゾンとして再度名前を与えられ、単なる特殊な症状を有する研究対象ではなく、ひとりの人間としての彼の人生に光を当てられる。...

てんかん治療として海馬を手術によって除去され、記憶障害となった有名な患者H.M.。著者は、彼を長年研究した医師である。本書で彼はH.M.=ヘンリー・グスラフ・モレゾンとして再度名前を与えられ、単なる特殊な症状を有する研究対象ではなく、ひとりの人間としての彼の人生に光を当てられる。多くの脳神経科学を紹介する本でも紹介されたH.M.が、つい最近の2008年まで存命だったというのは驚きだ。今後脳の海馬切除手術は行われることもなく、H.M.のような患者は二度と現れないことを鑑みると、PETやfMRIなど脳内の活動を計測する装置が進化した近年まで存命であり、それらによる検査を受けることができたのは科学にとっても幸運だったのではないだろうか。27歳のときから50年以上も長期記憶を失って生きるということがどういうものだったのか。それは彼にしかわからない領域だ。本書はそのような彼と彼の時間に対してささげられた本である。 本書の内容は、ヘンリーに対して行われた注意深くデザインされた実験により明らかになった人間の記憶のメカニズムと、海馬を切除されてもそのことを受け入れなお心優しき人間として生きるヘンリーの実像という二つのテーマを絡めて進められる。 ヘンリーとの実験によって脳神経科学にもたらされた知見は大きい。ヘンリーは、長期記憶に変換する能力を失ったが、短期記憶の能力は失っていなかった。また、陳述記憶は記憶する能力は失ったが、運動スキルなどを覚える能力は失われなかった。こういった事実から、短期記憶と長期記憶の違い、長期記憶として保存するためのメカニズム、陳述記憶と非陳述記憶の違いなどが明確にされた。作動記憶(ワーキングメモリ)に関する研究も進んだ。そして、記憶のメカニズムが、情報の符号化、貯蔵、検索といったことを実現するための異なる過程の集合体であることが解明されてきた。その知見をもとに研究が進んだレム睡眠中での海馬の活動もとても興味深い。ノーベル賞受賞者の利根川進も、海馬による学習と記憶の仕組みについて遺伝子学の知見を持ち込んだ研究で成果を出したことにも触れられている。 死してなお、その脳をスライスされて保存されたヘンリー。それにしても、比較的広く行われたロボトミー手術の例もあるように半世紀やそこら前には人間の脳を切り刻むことが行われていたのは驚きであるし、また海馬切除されたヘンリーが記憶障害以外では(てんかん治療の薬によって萎縮が見られた小脳以外は)大きな問題がなかったこともまた人の脳の柔軟性という点で驚きなのである。R.I.P.と言いたくなるが、彼にとってそう言われることの意味はまたどこにあるのだろうか。

Posted by ブクログ

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