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ぼくは物覚えが悪い
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ぼくは物覚えが悪い
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商品レビュー
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13件のお客様レビュー
何年も前から読もうと思っていた本書をやっと読めた。 重度のてんかん治療のため、脳の外科手術をおこなった結果、記憶する能力を失った男性の50年にわたる臨床と研究の記録だ。 脳の外科手術というと、映画にもなったロボトミー手術を思い浮かべるが、こちらはもう実行されることはなくなっている...
何年も前から読もうと思っていた本書をやっと読めた。 重度のてんかん治療のため、脳の外科手術をおこなった結果、記憶する能力を失った男性の50年にわたる臨床と研究の記録だ。 脳の外科手術というと、映画にもなったロボトミー手術を思い浮かべるが、こちらはもう実行されることはなくなっている。本書で取り上げられている手術も当時としてもかなり実験的だったようで、手術がもたらした結果を受けて、執刀医は「同様の手術はやってはいけない」と結論づけているとある。ただ、服薬ではなかなか改善が難しい病態のてんかんも実際にはあって、事実私も、以前の職場で、脳の一部切除を受けた人を二人ほど支援していたことがある。生活に支障をきたすほど、場合によっては発作によって命も危険にさらされることもあるほどの症状があるからで、切除により奪われる機能もあるので、これはメリットとデメリットを十分に吟味し、患者に説明し、理解を得たうえでの判断となる。 著者は、ヘンリー・モレゾンという重度のてんかん患者が、海馬と扁桃体を切除したことによって陥った記憶障害に、50年にも及ぶ長期間、ヘンリーに寄り添い、研究を重ねた人物だ。彼の生涯が幸せだったのか、彼に外科手術を施したことは正しかったのか、正解はわからないが、少なくともヘンリーが神経科学にもたらした恩恵は計り知れないだろうし、今後もこの研究が、多大な恩恵をもたらし続けるであろうことは想像に難くない。 奇しくも彼が生きた生涯は、脳の画像診断が飛躍的に進んだ時代に重なったこともあり、そういう時代的な背景も相まってより一層意義深いものになっただろう。 研究にあたって様々な認知検査等を実施した記録の部分は、学術的な記述が多く難しい面はあった。ただヘンリー自身がとても穏やかで魅力的な人物であったこともあって、彼の人物像の描写は温かい。また彼をとりまく人々が、彼につねに敬意を払いできるかぎりのサポートをしながら関わり続けている様子もあって、読み物としても非常に興味深く読めた。 エピローグで「現在私たちが一般的と考えている手術━━臓器移植、人工心臓埋め込み、冠動脈バイパス手術━━もみな当初は実験的手術に参加するボランティアの存在に頼っていた」と著者が述べているが、そういう数多の段階があったからこそ今の医学の進歩があるのであり、そしてこれからもそういう試みを経て医学が進んでいくのだろう。倫理とは切っても切り離せない側面が医学にはつきものだ。 30秒程度の「いま」しか生きられなかったヘンリーは、果たして82年の生涯を幸せに過ごせたのだろうか。 仏教的考えでは、人の苦しみは過去と未来を考えることからくる、という。現代はマインドフルネスがもてはやされる(?)時代。ヘンリーは「いま」をどう感じていたのだろうか。
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高3の時から読みたいと思っていた本。 やっと読めた。 重度のてんかんによって両側頭葉内側を摘出したことで新しい事を覚える事が出来なくなり、永遠の現在に閉じ込められた患者H.Mの生涯を主治医が書き記した学術本。 医学に携わる者なら知らない人は居ない程有名な患者だけど、どう考えたって...
高3の時から読みたいと思っていた本。 やっと読めた。 重度のてんかんによって両側頭葉内側を摘出したことで新しい事を覚える事が出来なくなり、永遠の現在に閉じ込められた患者H.Mの生涯を主治医が書き記した学術本。 医学に携わる者なら知らない人は居ない程有名な患者だけど、どう考えたってヤバそうな手術が行われた歴史背景(読んでわかったことだけど当時はこんな実験的な手術を行う神経外科という謎の科が神経科医の花形だったらしい、怖すぎる)や、H.Mではなくて一人の善良な市民ヘンリー・モレゾンとしての一面も書いてあってよかった。クレソンよりケーキが好きらしい。 新しい事を覚える事が出来ないってどういう感じなのか、本当に想像がつかない。この本を読んだし勉強もしたから彼の病態もメカニズムも分かるけど、やっぱり自分に落とし込んで考えるのは難しい。 これを読んで思うことが沢山ありすぎてうまく言葉にできないんだけど、とりあえず、読んでよかった。 現代神経学の礎となったのは"患者H.M"ではなくて、アメリカに生まれた、甘いものとパズルが大好きなヘンリー・モレゾンというごく普通の人間の人生だということを心に刻みたい。
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1950年代、てんかんの治療で脳の一部を除去された患者がそのために一生健忘症で過ごすことになり、脳の研究材料として生活することになった男性ヘンリーの話。 脳と記憶など、科学的な話などが記述。 それにしても、何度も何度も同じような記述が繰り返しでてくるので、読むのが非常に厳しい。 ...
1950年代、てんかんの治療で脳の一部を除去された患者がそのために一生健忘症で過ごすことになり、脳の研究材料として生活することになった男性ヘンリーの話。 脳と記憶など、科学的な話などが記述。 それにしても、何度も何度も同じような記述が繰り返しでてくるので、読むのが非常に厳しい。 あまり印象に残らない本である。
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