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石垣りん詩集 現代詩文庫
1,281円
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 思潮社 |
| 発売年月日 | 1971/12/25 |
| JAN | 9784783707455 |
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石垣りん詩集
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石垣りん『詩の中の風景』を読む読書会に参加するにあたって、さすがに詩人の詩を読んでいないのはと思い買った一冊。詩よりも先に、最後の「詩論・自伝にかえて」を読んでしまい、割と衝撃的だったので、その時点で感想を書きたくなってしまった。 「立場のある詩(p116)」で石垣りん自身が解...
石垣りん『詩の中の風景』を読む読書会に参加するにあたって、さすがに詩人の詩を読んでいないのはと思い買った一冊。詩よりも先に、最後の「詩論・自伝にかえて」を読んでしまい、割と衝撃的だったので、その時点で感想を書きたくなってしまった。 「立場のある詩(p116)」で石垣りん自身が解説している「挨拶 原爆の写真によせて」の詩は、中学校三年生の教科書にも載っている詩で、教科書の出典もこの『現代詩文庫46 石垣りん詩集』になっている。この詩について、石垣りんは、こう言っている。 (前略)食糧も娯楽も乏しかった時期、文芸といった情緒面でも、菜園で芋やかぼちゃをつくるのと同じように自給自足が行われ、仲間うちに配る新聞の紙面を埋める詩は、自分たちで書かなければならなかった。実際、私も勤め先の職員組合書記局に呼ばれ、明日は広島に原子爆弾が投下された八月六日である。朝、皆が出勤してきて一列に並んだ出勤簿に銘々判を捺す、その台の真上にはる壁新聞に、原爆被害の写真を出すから、写真に添える詩を今すぐここで書いてもらいたい。と言われ、営業時間中、一時間位で書かされたことがありました。(p116) 教科書で原爆の悲惨を伝える詩として丁重に扱われる詩は、極めて事務的な理由で書かれた詩だった。そう思うと、詩に対する印象が、大分変わるなと思う。 彼女は、「ほうぼうの職場で、多かれ少なかれこうした詩の出来事がったのでしょう」とも言う。目にした写真を手にして、「すぐ詩を書けと言う執行部の人も、頼まれた者も非常な衝撃を受け」たといい、「叩かれてネをあげるような思いで、私は求めに応えた」と続ける(p118)。 きっとあの詩が描かれるきっかけとなった原爆被害の写真は、石垣りんにとって詩で語るような類のものではなかったのだろう。その写真の衝撃に対して「ネをあげ」たような詩。そこには、「どういう方法でつくった、といえる手順は何もな」かったと聞くと、教科書の発問の通り、「〜という表現の効果は何か」とか、「この詩を通して筆者が伝えたかったことは何か」とかいった問いに答えるのもバカバカしくなってくる。 収録されている石垣りんの第二詩集『表札など』の表題作「表札」の最終連で、彼女はこう言っている。 精神の在り場所も ハタから表札をかけられてはならない 石垣りん それでよい。(p59) 原爆をテーマにした詩を見て、原爆の悲惨さを伝えている詩だと考えることこそ、まさに彼女の言っている「ハタから表札をかけられ」ることなのではないのだろうか。あるいは、原爆被害の写真を手に「ネをあげ」た詩人に対して、勝手に「詩人 石垣りん」という表札をかけることなのではないのだろうか。 作家論は古いとも言われるけれど、読者の想像力が作者を超えられないのなら、誠実に作家の言葉に耳を傾ける態度は、大切なのではないかと、つくづく思った。 結局まだ詩集の方は読んでいないので、これから読もうと思う。
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