小説 星守る犬

原田マハ(著者), 村上たかし

• 販売会社／発売会社: 双葉社
• 発売年月日: 2014/06/13
• JAN: 9784575516814

商品レビュー

2024/09/16

犬は飼ったことない。世話を人に任せたハムスターが1匹。その子は病気で死んでしまった。一緒に居られた時間は多く見積って半年。内実はもっと短い。その時はまだその子に感情があることなんて信じられなかったし、考えもしなかった。それは別れる時に傷つくだけだから。実際のお別れの時、自分はその子が住む家に向かいながら自分は泣けるのだろうかということばかり考えていた。着いてその軽くなった身体を見た時、持ち上げた時、自分は泣いた。それはもう会えないという自分本位な涙がひとつ、主にその子の世話をしていた人の涙を見て出てきた涙が少しという内訳。自分はその子のために泣くことはなかった。そのことにすら無自覚だった。
　おとうさんの、犬に対する真っ直ぐな向き合い方、それに応える犬。その関係性が読み手に透けて見えるような書き方がとても読みやすかった。その後の構成が特に素晴らしい。その関係性を見せた上で、過去に自分の飼っていた犬に対して、そのような真っ直ぐな関係性を結べなかった第三者からの視点で、おとうさんと犬の物語の続きを描いている。ケースワーカーのその過去に対するやるせなさ、それに無自覚だったのか既に自覚して『前田さん』の件に向き合ったのかは分からないが、もっと早くこうしていればという後悔に自分は共感した。
　おとうさんはもうあの犬にしかまっすぐ向き合えなくなっていたのかもしれないなあ。人に絶望して拒絶した結果があの車の中で事切れた現実なのかも。それは犬から見ればこんな美しい物語になった。

2023/08/23

いやあ〜凄くよかった、凄く読みやすかった。漫画であるとは知らなかったです、管窮を知らずですね。バンよバンそのものよ。振り返る旅なのかな、愛することを恥ずかしく思った後悔か、とにかく同じ道を辿ったのも良いし、ひまわりの花を捧げにもう一度キャンプ場に行くのも肯定する。状況だけで2人の関係性を読み切るって凄いし、1人でも想う人がいたらお父さんも報われる。家族だから一緒に死んでいったのだね。お母さんにバカ娘に一方的な非を向けたいけど、お父さんも甘かった、気づいて欲しかったなお母さんの悩み事全部に。漫画版買おう

2023/06/12

原作のコミックは未読です。しかし、切々と迫ってくるものがありました。犬って、人間って。。。言葉になりません。主人公のおじさんと自分を重ねてしまいました。