パラケルススと魔術的ルネサンス bibliotheca hermetica叢書

菊地原洋平【著】, ヒロ・ヒライ【編】

• 販売会社／発売会社: 勁草書房
• 発売年月日: 2013/12/24
• JAN: 9784326148271

商品レビュー

2023/09/13

パラケルスス、よく知らなかったけれど、印象が変わりました。ヨーロッパを遍歴し、そもそも偽名だったなんて。

今読んでもなんとなく通じるものがあると思うのは、
今もパラケルススの時代も新しい時代への過渡期だからかな。

それにしても、この手の本で読みやすく分かりやすく面白いと感じたのははじめてかも。

根拠となる文献も示されていたので、気になったところを更に読みすめてみたくなった。

2018/01/28

パラケルススと言えば"近代医学の創始者"やら"賢者の石を手に入れた錬金術の達人"といった途方もなく掴みどころのない偉大な人物のイメージをもって迎えられ、どこか田舎の町に定住し静かに医者をしながら錬金術にも通じる生活を営んでいたかと思っていたのですが、とんでもない。

実際には他人とよく揉め事を起こし、そのことによってその町に滞在することが出来なくなり遍歴するということを死ぬまで続けたという波乱万丈な人生を送っています。

本書はそんなパラケルススの人間味溢れる軌跡を順に追いつつ、その遍歴のさ中に生み出された著書群および思想の紹介を行っています。

パラケルスス思想の根幹にあるのは"目に見えないもの"と"目に見えるもの"の二元論的解釈であり、初期の著書から晩年の著書までその芯は変わらず精度を上げていき、それらの解説と本書著者による考察を交えてのスタイルとなっています。

もちろん読み物として通読しても楽しめるのですが、本書著者の約１５年間におけるパラケルスス研究の集大成とのことで、ほぼ全てのページに原典等資料使用箇所の表記が事細かくなされているので、本格的な研究活動にも活躍できる魅力的な１冊となっています。