福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇

辻野弥生(著者)

• 販売会社／発売会社: 崙書房出版
• 発売年月日: 2013/07/01
• JAN: 9784845502066

商品レビュー

2024/09/24

小学4年生の頃「流言飛語」という言葉がどういうものか、言われなき理由で朝鮮人が殺害されたことと一緒に授業で知った。まだ何にも考えていない子どもでも衝撃を受けた内容だった。映画『福田村事件』が依拠した書籍だそうだが、映画ともに本書を読むことをお勧めする。過去を直視することはとても大切だ。

2024/05/20

関東大震災の当時の雰囲気がよく分かる。

朝鮮半島を併合した日本側の事情があるのは良くわかるし、当時の朝鮮側の政治対応も理由として挙げられるが、両国とも国民の認識は政府とは異なる。1919年に独立運動が起こり、1923年に関東大震災。日本人は、差別的な感情と共に、併合の「後ろめたさ」から、復讐に怯える疑心暗鬼なヒステリーな状態にあった。

本書で取り上げる福田村事件は、1923年に千葉県東葛飾郡福田村（現在の野田市）で発生した事件。関東大震災の混乱と流言蜚語が生み出した社会不安の中で、香川県からの薬の行商団15人が地元の福田村および田中村それぞれの自警団に暴行され、9名が殺害された.。

ヒステリー状態だったからとは言え、やっている事は無茶苦茶だ。
「日本人なら、国家を歌ってみろ」。「がぎぐげご、ぱぴぷぺぽ、いろはにほへと」を言わせてみる。「15円50銭」を言わせてみる。一重だったら朝鮮人だ、など。外国語習得の究極的な壁（幼少期に覚えないと、必ず特徴的な発音・アクセントとなる）を利用した、朝鮮人狩り。それも罪悪感、復讐への怯えからの対応。で、日本人であるにも関わらず、方言が聞き取れなくて、殺してしまう。行商団の方言が千葉県の人々には聞き慣れず、朝鮮人とみなされた。関東大震災の直後に流された流言蜚語が不安や恐怖を煽った。

映画『福田村事件』もこの事件を描いており、関東大震災から100年が経った2023年9月に公開。本書で、当時の状況をよく理解できた。この事実一つ見ても、後世の人間が併合を正当化するには、政治情勢には理解ができたとしても、国民感情的には無理がある事が分かる。日韓歴史認識の問題は、この政治と国民感情の切り離しができないまま、混同して論じられる所に複雑さがあると思う。

2023/09/10

関東大震災に際して朝鮮人と見做されて日本人が殺害された事件である。千葉県福田村で、香川県から薬の行商一行が地元民に襲撃された。犠牲者には幼児や妊婦も含まれていた。