刀圭 光文社文庫

中島要【著】

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2013/04/11
• JAN: 9784334765637

商品レビュー

2024/03/29

電車で読むのに最適。でも、夢中になりすぎて降り損ねそうになったので、注意は必要。
余一とお糸の始末屋シリーズでハマり、他の作品もと手にした一冊。
初の長編とは思えないおもしろさだった。
とはいえ、疫病の流行、永代橋の崩落事故、貧しい人々の日々の苦難など、暗い側面もしっかり描かれていて、印影の深い作品だった。

2024/02/17

頭はカチカチで、頑な。
青臭い自分の考えが、現実に向き合い、
打ち砕かれていくたびに、
圭吾は、一つひとつ成長していく。

そんな、医師の道を行く若者、圭吾の物語。

父の病気で、長崎での医学修行から急遽、
江戸へ戻った圭吾は、貧しい人々を惜しみなく
助けてきた父の意志を継ごうとする。

治療費をとらず、必死に患者をみる圭吾を
人々は頼りにするが、元々ゼロから始めた医療行為、
薬も回してもらえず…。

主人公、圭吾のキャラ、理想に燃えるのはいいのだが、
どうも、世間常識とは噛み合わない。

イライラさせられるのだが、
それを救うのが、周囲の人々、特に、若旦那、笙三郎は
柔軟で魅力的だ。

主人公とは対照的だから、
かえって、圭吾のダメさが際立ってしまうのだが、
若者の成長物語としては、それがいいのかも。

周囲の登場人物のあたたかさに救われる。

2018/02/13

頑固で生真面目な蘭医と、粋で放蕩児な薬種問屋の若旦那。反りが合うはずがない。それが次第に絡み合って行く様が面白い。中島要さんの作品には、常に市井で生きる者達の温かさと粋がふんだんに盛り込まれている。面白くないはずがないのだ。