1,800円以上の注文で送料無料
ホテルローヤル
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1221-04-03

ホテルローヤル

桜木紫乃(著者)

追加する に追加する

ホテルローヤル

1,540

獲得ポイント14P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2012/12/29
JAN 9784087714920

ホテルローヤル

¥1,540

商品レビュー

3.2

539件のお客様レビュー

レビューを投稿

2026/09/02

作品を通して新たな作家と向き合うのは、実にエキサイティングな事です。作家の知的活動の結果、生み出された想像の世界に新たな発見があれば、ゾクゾクするような喜びがあります。桜木紫乃の描く世界は、欲望をかきたてる性愛を扱っています。彼女が駆使する言葉は現実感に満ちている反面で、人間の持...

作品を通して新たな作家と向き合うのは、実にエキサイティングな事です。作家の知的活動の結果、生み出された想像の世界に新たな発見があれば、ゾクゾクするような喜びがあります。桜木紫乃の描く世界は、欲望をかきたてる性愛を扱っています。彼女が駆使する言葉は現実感に満ちている反面で、人間の持つ悲哀が漂います。これが何によってもたらされるかと考えると、風土と答えるのが一番ピッタリします。釧路という土地は、夏だって20度を超える日は数日しかありません。しかも、霧がかかっていますからブォーと鳴る霧笛が独特の風情を醸し出します。また、後背地には湿原が広がっていて、高い樹木など見当たりません。ですから、春になって自然の生命力に圧倒される事もありません。荒涼とした土地なんですね。また、次のような印象を与える土地でもあります。 さいはての駅に下り立ち 雪あかり  さびしき町にあゆみ入りにき 遂に北の果てまで流れ着いてしまったという寂寥感が込められた啄木の歌ですね。 僕が通っていた釧路東中(現幣舞中)では、冬になるとグラウンドの雪を踏み固めてホースで水を撒きました。翌日にはグラウンドがスケートリンクに変身していました。生徒たちの冬の一番の楽しみがスケートでした。どういうわけか、全員がスピードスケートを履いていましたね。才能のある選手は釧路工業に進学してアイスホッケー部に所属、さらに高校で活躍した選手は十条製紙で社会人リーグでプレイするのがアスリートの出世街道です。本書で第1話「シャッターチャンス」に登場する貴史もそんなエリートアスリートでしたが、膝の故障で引退、今では美幸の勤めるスーパーで働いています。 おっと、このお話しの主人公は美幸であり貴史ではありませんでした。貴史はむしろ滑稽で間抜けな男として描かれています。美幸は「恋愛に余分な夢を見なくなったぶん、男の体に残る華やかな傷痕に触れられるのが嬉しかった」と思うような女でした。恋人の貴史の求めに応じて廃墟のラブホテルに向かう美幸でした。美幸のヌード写真を雑誌に投稿してカメラマンとして認められたいというのです。その投稿雑誌を目にした時に美幸は、貴史とは見つめ合うものを共有できないと、はっきり自覚したのでした。さらに、男はそろそろお互いの実家に顔を出そうと唐突に言い出しました。身勝手で鈍感な貴史に美幸は絶望します。 この作品は貴史が撮影場所として選んだホテルローヤルが廃墟となった現在から建てられる経緯まで、時間を巻き戻す形で、さまざまな男女の生と性が描かれていくのです。 もうひとつ印象に残った作品を紹介しておきますね。かつて釧路の花形産業だった太平洋炭鉱は既に閉山しまた。水産業は水揚げ量の減少に悩まされています。製紙業界は外国産の安いパルプに市場を掻き回されて不況産業化しています。このように、釧路の主要産業は衰退の一途を辿っています。このため、市民の生活は想像以上にきびしいものがあります。本書第4話の「バブルバス」はワーキングブプワーの実感を余すところなく描いてみせます。生活費の捻出に四苦八苦している妻の手元に思いがけず残った5000円がキッカケです。子供達の二段ベッドの下にダブルの布団を敷いて寝る住環境では、この夫婦はセックスもままなりません。「思いっきり声を出したいからと」とホテルローヤルに夫を誘います。生活に追われるばかりの夫婦にとってこの部屋で過ごした休憩時間は、どんな高級ホテルや旅館でも得られない至福の時だったようです。

Posted by ブクログ

2026/08/04

桜木紫乃さんの小説を初めて読みました。 最初と2話目のシャッターチャンスと本日開店は、 文体がなかなか慣れず、何度読んでも頭に入ってこないのでわたしには合わないのかと思い苦戦しましたが、 3話目のえっち屋 からはとても面白く読めて、最後まで一気に読むことができました。 えっち屋...

桜木紫乃さんの小説を初めて読みました。 最初と2話目のシャッターチャンスと本日開店は、 文体がなかなか慣れず、何度読んでも頭に入ってこないのでわたしには合わないのかと思い苦戦しましたが、 3話目のえっち屋 からはとても面白く読めて、最後まで一気に読むことができました。 えっち屋とバブルバスが特に好きです。 貧困さがリアルに描かれていて、読んでいてやるせなく、虚しい気持ちになります。

Posted by ブクログ

2026/07/10

閉館して廃墟化したラブホテル「ホテルローヤル」。 多かれ少なかれこのホテルが関わる人間模様を、オムニバスで描かれています。 廃墟ホテルでヌード撮影をするカップル 檀家に体を売ってお金を得る住職の妻(元ホテル経営者の遺骨を預かる) 経営不振のホテルを閉館するオーナー(ホテル開業者の...

閉館して廃墟化したラブホテル「ホテルローヤル」。 多かれ少なかれこのホテルが関わる人間模様を、オムニバスで描かれています。 廃墟ホテルでヌード撮影をするカップル 檀家に体を売ってお金を得る住職の妻(元ホテル経営者の遺骨を預かる) 経営不振のホテルを閉館するオーナー(ホテル開業者の娘)と、大人の玩具業者 臨時で得たお金で夫をラブホテルに誘う主婦 生徒とラブホテルで心中する(ことになるであろう)教師 性欲旺盛な夫を持つラブホテルの清掃スタッフ 愛人とラブホテル開業する男 7つの人生が時を遡りながら描かれます。経営不振になり今では廃墟となったラブホテルも、華々しくオープンし、多くの客を受け入れてきた歴史がありました。客が遠のく原因になった心中事件の前日譚が描かれる章も味わい深かったですが、一番すきなのは、僧侶が来なかったことで浮いたお布施の5000円で、ラブホテルに行く夫婦の話です。基本的に本書の主要人物は生活が苦しいのですが、浮いたお金を生活費に充てるのではなく、夫との時間に遣うという贅沢が、このホテルローヤルで行われていたというエピソードは、廃墟になった現在を知る読者としては諸行無常を感じさせ、せつなくなります。一方、その泡のようなホテルでの2時間を胸に、パートをはじめようとする妻の気持ちがいじらしくてよかったです。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品

履歴をすべて削除しました