

商品詳細
内容紹介 | スカーペッタは、とある死刑囚に会うため女子刑務所を訪れる。その囚人とは、殺人鬼ドーン・キンケイドを産んだキャスリーン・ローラーだった。面会を仕組んだ弁護士ジェイミーは9年前に起きた一家惨殺事件における彼女の冤罪を求め、証拠品からドーンのDNAが見つかったと言う。凶悪な事件の真相に迫る中、スカーペッタの推理が冴える!人気シリーズ第19弾。前作『変死体』と一緒に読むのがおすすめです。 |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2012/12/14 |
JAN | 9784062774352 |
- 書籍
- 文庫
血霧(上)
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血霧(上)
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商品レビュー
3.4
21件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
恋愛中はしょうがないとしても、ケイとベントンが結婚してもう何年もたっていると思うが、未だにケイがベントンを褒めるとき、頭の良さと育ちの良さとそれなりの財産のことばかり。 ベントンも彼女の見ためばかりを褒める。 ケイの自尊心のもとは肩書きと財産と、たまに見た目。 浅いんだよなあ、人物が。 賢い人たちばかりが出ているはずなのに、誇れるのは外面ばかりで、本人たちは我慢しているつもりらしいけど感情ダダ漏れ。 ケイの側にいる人はいい人で、敵対すると悪人。 浅いんだよなあ、設定が。 ルーシーと別れたバーガーは、今や卑劣な手段でケイやマリーノを絡め取ろうとする存在。 相変わらずケイの周囲の人たちは、ケイを思う故に(?)大事なことを一切ケイに知らせないため、読者の分からないことはすべてケイの疑問点となるわけで、そこらへんはわかりやすいと言える。 しかし、組織人として考えた時、誰も報告連絡相談しない上司って、無能なのでは? 事件はほぼ全く進展しなくても、もういいや。 多分浅い人物設定で、いかにどろどろの関係を造り上げるかが、このシリーズの肝なのだろうから。
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いいのかなぁ。嘗て、盟友とは言わないまでも、仲間として活動した人を、またも敵とは言わないまでも、疎遠で遠ざける相手として描いている。 それと、これは前作『変死体』で既にそう言う設定になってしまっていたけど、スカーペッタに軍人の身分があったなんて・・・。後出しジャンケンだ。 そ...
いいのかなぁ。嘗て、盟友とは言わないまでも、仲間として活動した人を、またも敵とは言わないまでも、疎遠で遠ざける相手として描いている。 それと、これは前作『変死体』で既にそう言う設定になってしまっていたけど、スカーペッタに軍人の身分があったなんて・・・。後出しジャンケンだ。 そう言う設定に不自然なところがあっても、そこそこ面白いんだけど、やっぱり不自然な設定は気になるなぁ。
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いよいよエンジンが、かかってきたかなと思われるこのシリーズ、何といっても前作から一人称でのケイの視点で記述される文体に戻したことが効果的な結果をもたらしていると言っていい。前作は実は完結していなかったという内容の本作。どの作品にも続編や後作の伏線であったりするのが本シリーズの特...
いよいよエンジンが、かかってきたかなと思われるこのシリーズ、何といっても前作から一人称でのケイの視点で記述される文体に戻したことが効果的な結果をもたらしていると言っていい。前作は実は完結していなかったという内容の本作。どの作品にも続編や後作の伏線であったりするのが本シリーズの特徴ではあるのだが、一旦シャンドン・シリーズに決着を見てからの新スタートとしての一人称文体、前作の続編として完全に捉えることのできる本書『血霧』も、なかなかスピーディで読みごたえがあっていい感触。 前作までで何とか捕獲した犯罪キャラクターたちが軒並み謎の死を遂げてゆく。しかも過去の人とは言え、ルーシーやマリーノにとっては重要なキャラクターが思いがけぬ再登場を果たしたかと思うとやはりこれまた謎の死を遂げてゆく。どれもが地理的にも状況的にも距離があり離れている場所で、なぜどうやって死に至ったのか、アクロバティックにもほどがあるという連続殺人にぶちあたるケイ・ファミリーであるのだが、一番地道で結論を急がない牛歩タイプのスカーペッタが、究明困難かと思われる真相にどんどん近づいてゆくところが小気味よい。 想像や類推を極度に嫌い、想像でものをいうこと、相手に何かを保証することを避けるために、ケイは常に融通の利かない嫌なセリフばかりを放たねばならないのだが、確実なもののみを捉えない限り何も認めないという科学者的スタンスこそが彼女のルールでありやり方であるのだろう。 一作に一回は爆発するケイ・スカーペッタのヒステリーだが自分を制御できなくなるその相手は最愛のベントンだけなのだから、彼以外のところで強いられている日常的な緊張からのストレスをベントンは嫌でも引き受けなければならない立場なのだろう。愛情ゆえの信頼、それゆえの自己制御が利かない混沌の時間は、二人の時だけのものである。ある意味とても完成された愛情とも取れるが、一方で別組織に属するゆえの二人の職業的守秘義務がもたらす沈黙の苦しみも、二人の本来あるべきスイートな時間を困難にする材料の一つとして、本シリーズの特徴と言えるハードな一面を示すものではないだろうか。 とても凶悪な素材として強く特徴づけられた前作の殺人者の存在を受けて、その母の収容されている女子刑務所を訪ねるシーンからこの小説は始まる。女子刑務所の所在地はジョージア州サヴァンナ。なんとケイが住んでいたチャールストンよりさらに南。雪のシーンが多かった前作までのニューヨークやケンブリッジから、一気にスカーペッタの故郷ともいえるディープサウスに帰ってきたというフラッシュバック感が味わえる本書。コリンという検屍官が南部魂の広告塔のような明るい存在感を全編に渡って表すところなど、日ごろのこのシリーズの堅苦しい切迫感から少し解放されるイメージすら感じ取れる。 そして続編ということでしばしば用いられる手法として、新たな脅威をもたらす殺人者の存在が浮かび上がってくる。その上、凶器は大量殺人兵器に繋がる可能性があるところで、前作冒頭で登場した軍の上層部まで顔を出し始め、あわや物語は全米全世界を飲み込むスケールに広がるや否やというところまで。これがスカーペッタのシリーズの特徴であり、広げた風呂敷をどう畳むのかといつも冷や冷やさせられるのだが、本書はきっちり締めてくれた。前作に続き、曖昧さの残らない展開が嬉しい。思いがけぬ結末と、クライマックス・シーンの印象度も、本書の質を高める重要ファクターである。
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