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量子怪盗 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
1,980円
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2012/10/12 |
JAN | 9784153350069 |
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量子怪盗
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量子怪盗
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商品レビュー
3.5
15件のお客様レビュー
twitter上で流れてきた情報で読みたくなった作品。フィンランド(作者はフィンランド出身英国在住)がキモだったかルパンがキモだったか両方だったか(両方のような気がしてきた)。 まあとにかく「ルパン的な怪盗でSFだとうっ!?」と思ったことはハッキリ覚えている(にしてもこのタイトル...
twitter上で流れてきた情報で読みたくなった作品。フィンランド(作者はフィンランド出身英国在住)がキモだったかルパンがキモだったか両方だったか(両方のような気がしてきた)。 まあとにかく「ルパン的な怪盗でSFだとうっ!?」と思ったことはハッキリ覚えている(にしてもこのタイトルはどうか、という気持ちがあったのも覚えているw)。 青年探偵イジドールのことは数年前に南版の「奇巌城」を読み返したにも関わらずウロオボエーだったんだが、それでもルパン的エレメントが散りばめられていそうなところと、SFだということに興味を持った。 で。ざっくり感想。 なかなか面白かった。 造語や設定に慣れるまでは入り込みにくいけど、始めのイジドールのターンあたりからぐいぐい読めた。最近の作なこともあって訳も読みやすかったし。うまかったと思う。 個人的にはル・フランブールとイジドールの関係性に萌え。怪盗と探偵というのもあり……もにょもにょというのもあり(笑)。 ただ男どもは怪盗を始めとして思ったよりずっと情けないですなあ(苦笑)。それもルパン的?(笑)。もうちょっと格好良くてもよかったのに。いやこのダメさが逆にいいのか。萌えるのか。どうか。 イジドールなんかまんまそうだけど、ル・フランブールが使う偽名もルパンが使ったものばかりだし、ちらりちらりとルパン要素が出てきてニヤリ。 日本文化も出てきて、そういやルパンはジュードーの使い手だったしなあ、とか。作者の最初の作品は「Shibuya no Love」だそうでなので日本文化を好きな人なのかもしれない。まあもっとも、日本以外の各国文化も出てきたし、ギブスンぽい=サイバーパンクっぽい?と思ったけれども、そもそもサイバーパンク作品をギブソンの4作ほどでしか読んでいない上にサイバーパンクの定義をはっきりは知らないので、そういうところは単にSF的ということかもしれない。ツールとして使われやすい、みたいな。 因みに解説には「ニュー・スペースオペラ」とあった。ふーん。 一番驚いたのはこれが三部作の第一作目で続いちゃうってこと(苦笑)。てっきり一冊完結だと思ったのになあ。 道理で幾つか不明なまま終わったな……と。この不明点が次作以降で判明するのかどうなのか。例えば《開祖》が怪盗に盗ませようとしたものはなんだったのか。……あれ、ハッキリしてないよね?過去の記憶はとっかかりだよね?依頼主張本人の差し金で追われることになっちゃったけども。《開祖》達の謎も、ミエニのシダンも気になるし。 ところで、結局9人の友人達は皆、静者(クワイエット)になっちゃったんですかねえ。でもレイモンドは無事なんだよねえ。レイモンドは9人には含まれなくて、だから携帯時計(サイフ)を受け取ってなくて、文字通り引き金になるリボルバーを預かっただけ、ってことなのだろか。そこだけなんだかなあと思ったのでした。 余談だけれども、本編に「犯罪者とは、クリエイティブなアーティストなんだ。探偵なんて、ただの批評家にすぎない」という、白い怪盗様が言った台詞とよく似た台詞が出てきて、まさかあれを元にはしていないだろうからもしかして原典があったのか、これもルパンか、と、思ったら出てきた。ルパンじゃなかった。G.K.チェスタトン「ブラウン神父の童心」(の中の「青い十字架」)。でも使われ方は前者の方が近いっぽい。もしやまさか……。
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新☆ハヤカワ・SF・シリーズは去年の刊行当初から、 全巻予約注文してるのに、今回は入荷するのに、発売日から 2週間近くかかった…。 東武ブックスさん、ちょっとひどいよ…。
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電子書籍が普及する昨今、かつてのハヤカワSFシリーズの復刻というべき体裁のビニールカヴァー付ソフト・カヴァー、小口塗り、やや黄色い紙の手に馴染む「紙の本」を出す早川書房の心意気をまず称えておきたい。3年後には文庫化する商売っ気も称えておくが。 しかし中身は旬の作家たちのSFで...
電子書籍が普及する昨今、かつてのハヤカワSFシリーズの復刻というべき体裁のビニールカヴァー付ソフト・カヴァー、小口塗り、やや黄色い紙の手に馴染む「紙の本」を出す早川書房の心意気をまず称えておきたい。3年後には文庫化する商売っ気も称えておくが。 しかし中身は旬の作家たちのSFで、バチカルピだの、このライアニエミだのエキゾティックな名前も並ぶ。ライアニエミはフィンランドからイギリスに渡った人。 ニュー・スペースオペラと評される本作は、まずは人間の精神のソフトウェア化が済んだ未来の太陽系が舞台となっており、一応、肉体に宿っている人間の他、どうやらオンライン・ゲーマーの末裔と思われる、オンライン知性体のゾク、集合的意識体と思われる精神共同体(ソボールノスチ)などの人類のヴァリエーションが何やらそれぞれの利害で動いている。 海王星軌道上の監獄にソフトウェア状態で囚われている盗賊ジャン・ル・フランブールは日夜、仮想空間の中で、人工知性体と決闘のゲームを強要されていたが、そこに戦闘美少女ミエリが侵入し、フランブール(のひとつのヴァージョン)を救い出す。ミエリはソボールノスチの集合的ペレグリーニのために働いているらしく、何か訳ありだ。フランブールは否応なくミエリに働かされることになる。物語の主舞台は火星の都市ウブリエット。忘却を意味するこの都市はかつてフランブールが暮らしていたことがあり、昔の因縁がありそうだが、脱獄したフランブールのヴァージョンにはそのあたりの記憶が欠けている。 映画『タイム』では余命が通貨として流通する社会が描かれていたが、ウブリエットでも時が金である。使い果たすと、精神が抜き取られ、静者といわれる機械の操作系として使役され、その労働で時間を貯めるとまた人間に戻ることができるという社会である。抜き取られた精神は、この物語ではゴーゴリと呼ばれるが、それはその精神ソフトフェアが「死せる魂」だからである。種々のテクノロジーはさしたる説明もなく、各国語で印象的な名称が付けられて、これでもかと投入されている。 怪盗に対する名探偵は学生のイジドール・ボートルレ。そして千年紀長者ウンルー主催のパーティに怪盗からの予告状が届く。 怪盗ルパンへのオマージュ、火星シリーズへのオマージュをちりばめつつ、怪盗対名探偵の対決は実はそれほど中心的ではない。謎はフランブール自身の知らない自分の来歴であり、そしてウブリエットという都市の謎なのである。また、キャラの立った登場文物たちの絡み合い、人間兵器ミエリのアクションも大きな見せ所となっている。 とりあえずウブリエットの謎は解かれるのだが、ミエリの訳ありとフランブールの因縁はほのめかされただけで、次の舞台は地球と告げられる。これは三部作の1作目で、第2作『複成王子』はまだ読んでない。
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