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去年はいい年になるだろう(下) PHP文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | PHP研究所 |
発売年月日 | 2012/09/19 |
JAN | 9784569678887 |
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去年はいい年になるだろう(下)
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商品レビュー
4.3
9件のお客様レビュー
私小説風、自伝的SF。リアルな生活感や内輪ネタと、歴史改変の壮大なストーリーがいい感じでマッチ。作者の“趣味”を押し出したラストにはニンマリ。
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星雲賞は日本SF大会のファン投票でその年の最も優れた作品に贈られる賞である。直木賞・芥川賞のようにプロが選ぶ賞よりも、ファンから直接支持されるのは作家冥利に尽きるものがあるのだろうと推測される。そして本書は星雲賞受賞作である。 未来から人類に福祉をもたらすガーディアンの到来...
星雲賞は日本SF大会のファン投票でその年の最も優れた作品に贈られる賞である。直木賞・芥川賞のようにプロが選ぶ賞よりも、ファンから直接支持されるのは作家冥利に尽きるものがあるのだろうと推測される。そして本書は星雲賞受賞作である。 未来から人類に福祉をもたらすガーディアンの到来という大きな出来事を、「僕」山本弘の自伝小説的な視点から描いていく。2001年当時に執筆していた『神は沈黙せず』はガーディアンの来訪により発表困難と判断するほかなくなるのだが、改変前の未来でこの力作が星雲賞を取れたのかどうかとガーディアンに聞く場面がある。その年の受賞作は小川一水『第六大陸』と聞いて、がっかりするというわけだが、めでたく本作で星雲賞受賞。おめでとうございます。 星雲賞受賞作ということは多くのSFファンを唸らせた小説というわけで、このままSF私小説としては終わらないだろうと思うも、期待を裏切らない急展開とその余韻が待っている。 善意でなされたことはよい結果をもたらす、と何となくみんな思っているのではないか。それが確信に至ったら、結構押しつけがましい善意になる。人類は正義の名の下にもっとも残虐なことをしてきたというテーゼはそこからそう遠くはない。善意はよい結果を生まないなどと断言したら、おそらくナイーヴな人々の反感を買うだろうが、ガーディアンの善意がどういう結果をもたらすのか、相当突き放した視点から作者は描いていく。しかも自分をネタにしているところが作家根性を見せてくれているというべきか。 過去を書き換えてしまうというご都合主義を描きながら、やはり人生は唯一のものであるという認識が示されるのが余韻である。
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予想できない展開と、予想出来つつそうなってほしくなかった展開とが一気に話に乗ってくる。見え見えの伏線も、全く気づけなかった伏線も、どちらも意図して置かれたものなのだろう。論破されてもなお意味の無くなった行為を続ける彼らは、少し人間らしさを手に入れたのだろうか?
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