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キスカ島 奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯 新潮文庫
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キスカ島 奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯 新潮文庫

将口泰浩【著】

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キスカ島 奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯 新潮文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2012/07/30
JAN 9784101384115

キスカ島 奇跡の撤退

¥605

商品レビュー

4.1

9件のお客様レビュー

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2020/01/01

第二次大戦の撤退の成功例として有名なのは、欧州戦線のダンケルクの撤退。こちらとは規模も小さく比較にならないが、日本軍のキスカ島の撤退は、アッツ島の玉砕と同時期で戦況は最悪、かつ日本本土からの距離の遠さや艦船の戦力等、圧倒的に不利な状況での撤退だった。大兵力で砲弾の雨を降らせたアメ...

第二次大戦の撤退の成功例として有名なのは、欧州戦線のダンケルクの撤退。こちらとは規模も小さく比較にならないが、日本軍のキスカ島の撤退は、アッツ島の玉砕と同時期で戦況は最悪、かつ日本本土からの距離の遠さや艦船の戦力等、圧倒的に不利な状況での撤退だった。大兵力で砲弾の雨を降らせたアメリカ軍が上陸したけれど、日本兵は誰もいなかったという奇跡の撤退。この本では、指揮官の木村中将の目を通して、この撤退の様子を描いている。 日本軍の上層部は、頭だけで戦争を遂行する凡人ばかりだったようだが、現場の指揮官は優秀な人が多かった。彼もその一人だと思う。厳しい局面で運にも助けられて、見事に作戦を完遂したが、彼の人生のその後は不遇だったようだ。 一瞬の成功が必ずしも良き人生に繋がらない。人生とはそういうものなのかも。

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2019/09/19

キスカ島撤退作戦については、映画『太平洋奇跡の作戦 キスカ』を観たくらゐで、特に知識を持ち合せてはゐませんでした。三船敏郎がかつこ良かつたねえ。数多い東宝戦争映画の中でも、かなり見応へのある作品でした。 その三船敏郎が演じてゐたのが「大村少将」。そのモデルが、今回の一冊『キスカ島...

キスカ島撤退作戦については、映画『太平洋奇跡の作戦 キスカ』を観たくらゐで、特に知識を持ち合せてはゐませんでした。三船敏郎がかつこ良かつたねえ。数多い東宝戦争映画の中でも、かなり見応へのある作品でした。 その三船敏郎が演じてゐたのが「大村少将」。そのモデルが、今回の一冊『キスカ島 奇跡の撤退』の主人公である海軍将校・木村昌福、第一水雷戦隊司令官であります。昌福は「まさとみ」と読むのですが、その見事なカイゼル髭から「ヒゲのショーフク」と呼ばれてゐたさうです。 この人、兵学校では成績があまり良くなかつたさうです。海軍では兵学校の席次が出世に直結する為、木村は便利屋として色色使はれてゐたフシがあります。誰かが転身したり殉職したりした後の穴埋め人事に利用されたり。 キスカ島撤退作戦の指揮を命じた側も、恐らくそれほど期待してゐなかつたのでは。 同じアリューシャン列島のアッツ島に於ける日本軍は、壮絶な最期を遂げました。キスカ島も陥落は時間の問題と思はれました。孤立状態の上、米軍が睨みを効かせてをります。このままではアッツの二の舞、玉砕する運命にあります。 そこで「ケ」号作戦(撤退作戦)が敢行されたのでした。 しかしこれを遂行するのは至難の業。米軍の目をかすめて、5000名以上の兵を帰還させなくてはいけないのです。そこで重要なのが天候。濃霧が発生してゐる日を選ぶのですが、中中うまくいきません。結局、一度は断念して引き返します。「帰ればまた来ることができる」と呟いたと伝へられてゐます。 引き返してきた木村は批判にさらされます。「腰抜け」呼ばはりであります。ぐつと耐える木村。 そして再出撃。突入日は1943(昭和18)年7月29日と決まりました。その日は、申し分のない濃霧が発生。米軍の慢心にも助けられ、5183名の撤退が僅か55分で完了したといひます。驚異的ですなあ。 米軍がキスカに上陸した時は、既に撤退済み。しかしまさかそんな作戦が遂行されてゐたとは知らぬ米軍。無人の土地に砲撃を撃ち込み、同士討ちまでしてしまつた。誇り高き米軍としては、まことに屈辱的なことでしたらう。 関係者で生存してゐる方は、もう僅か。取材活動も難儀であつたらうと推察される中、著者の将口泰浩氏の力量が遺憾なく発揮されてゐますね。実に読み応へのある一冊でありました。 ところで、本書でも牟田口廉也の無能・無責任ぶりが述べられてゐます。先達てのNHKの歴史ドキュメント番組でも同様に紹介されてゐました。遺族や子孫が可哀想だなあと感じたのであります。本編とは関係ないけれど。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-803.html

Posted by ブクログ

2016/03/05

木村昌福氏が死の直前に書道塾の子供たちに宛て随想を書いています。「人の上に立ってものをするとき、部下の者に仕事の一部を任した場合、どちらでもよい事はその人の考え通りやらせておくべし。そのかわり、ここはこうしなければ悪くなるとか、ここで自分が取らなければ、その人に責任がかかるという...

木村昌福氏が死の直前に書道塾の子供たちに宛て随想を書いています。「人の上に立ってものをするとき、部下の者に仕事の一部を任した場合、どちらでもよい事はその人の考え通りやらせておくべし。そのかわり、ここはこうしなければ悪くなるとか、ここで自分が取らなければ、その人に責任がかかるという時には猶予なく自分でとること。人の長足る者心すべき大事なことの一つなり」まったく同感しました。私はこの言葉を肝に銘じたいと思いました。

Posted by ブクログ

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