トコトンやさしい炭素繊維の本 B&Tブックス今日からモノ知りシリーズ

平松徹【著】

• 販売会社／発売会社: 日刊工業新聞社
• 発売年月日: 2012/07/21
• JAN: 9784526069147

商品レビュー

2016/10/09

炭素繊維は重さが鉄の1/4で強度が10倍以上という優れた特徴を持ち、様々な用途へ使用されている材料である。本書は炭素繊維シェア１位の東レ出身の著者による、炭素繊維とコンポジットの入門書。見開き右ページ解説、左ページ図表で１テーマ完結、のような初心者にも読みやすい構成で、あまり書籍が出回っていない炭素繊維業界にとっては貴重な一冊である。見開きごとに連番が打ってあるせいか、読みやすい反面、 章の構成が分かりづらい印象を受けた。

第１章　炭素繊維とは
第２章　炭素繊維複合材料とは
第３章　スポーツや日常生活で使われる炭素繊維
第４章　土木・建築や一般産業用機械などで使われる炭素繊維
第５章　自動車やエネルギー関連用途で使われる炭素繊維
第６章　航空・宇宙用途で使われる炭素繊維
第７章　炭素繊維の展望と課題

2013/07/28

目次
第1章　炭素繊維とは
第2章　炭素繊維複合材料とは
第3章　スポーツや日常で使われる炭素繊維
第4章　土木・建築や一般産業用途などで使われる炭素繊維
第5章　自動車やエネルギー関連用途で使われる炭素繊維
第6章　航空・宇宙用途で使われる炭素繊維
第7章　炭素繊維の展望と課題

メモ
p20　理論強度・弾性率
黒鉛 : 180 GPa / 1020 GPa
PAN系中弾性高強度糸 : 7 GPa / 294 GPa
PAN系高弾性高糸 : 3.5 GPa / 700 GPa
ピッチ系 : 3.7 GPa / 935 GPa

p22　理論との乖離の原因(強度) = 破断面のボイド欠陥・表面欠陥、基本構造(緻密性・配向性）

p24　弾性率向上　↑　←　結晶の大きさ・配向度　↑

p28　ピッチ系　=　等方性タイプ/メゾフェーズ(異方性)タイプ
原料の違い、製法はほぼ同じ
等方性＝低強度・低弾性
異方性＝比較的高強度・高弾性

・ピッチ系で強度が出にくい原因→結晶子が大きい一方で隙間が大きい

・結晶子が大きい→熱伝導率や電気伝導率は大きい

機能特性
・熱膨張率がほぼゼロ

複合様式
・短繊維3次元ランダム、長繊維1次元配列、2次元、3次元、粒子分散型、積層型

マトリックスの種類
・熱硬化性樹脂(エポキシ・ポリイミド)、熱可塑性樹脂(ポリアミド、ポリカーボネート)、カーボン、セラミックス、金属
・熱硬化性樹脂→機械特性高い、強化剤との接着性が良い、リサイクル性低い、仮使時間があるなど
・熱可塑性→靭性高い、リサイクル性高い、強化剤との接着力が低い

検査・品質保証
・複合化状態、繊維欠陥、樹脂の状態、内部欠陥

大量生産型・低コスト成形技術の開発
・ハイサイクル一体成形技術(超高速硬化樹脂含浸技術、立体賦形技術）

リサイクル技術
・熱硬化し樹脂の熱分解(900oC付近＠窒素中)→ミルド粉砕

2012/12/24

ボーイング787等で話題なので、気になって読書。東レの方が書いてるだけあって、基礎知識の勉強以外にapplicationの話も多く、雑学もできて楽しかった。